ガレージは住宅同様に固定資産税がかかります。建築計画を立てる際は、費用だけでなく、毎年課税される税額も考慮しておかなければなりません。
ここでは、ガレージに固定資産税がかかる理由や安く抑える方法を解説します。
この記事の目次
固定資産税とは
固定資産税とは、毎年1月1日時点に不動産を所有している人に課税される地方税です。
不動産というと、土地や住宅などの建物を思い浮かべる人も多いかもしれませんが、実際にはガレージも要件を満たすと固定資産税がかかります。
固定資産税についてはこちらの記事でも紹介しています。
新築住宅の固定資産税はいくら? 軽減措置が2024年まで延長! マンションとの違いや節税方法も解説
固定資産税が課税される条件
住宅やオフィス、工場などだけでなく不動産登記法で建物と認定されている建築物は課税対象です。
不動産登記法が定めている建物の定義を確認していきましょう。
土地への定着性
土地に固定されて簡単には移動できない建築物に関しては「土地への定着性がある」とされ、課税される場合があります。
一方で、簡単に移動できる簡易的な物置などは、土地への定着性がないと判断される場合が多いです。
外気分断性
以下の条件を満たす建築物は、室内と室外の空気を分断している建物と判断され、課税対象となります。
【課税対象となる建築物】
・3方向以上が壁に覆われている
・屋根がある
例えば、コンクリートで基礎がしっかり設けられており、3方向が壁に覆われていて屋根があるガレージは、固定資産税の課税対象とされます。
用途性
建築物が、建てられた目的に応じて利用できる状態になっているものは、不動産登記法において建物とみなされる可能性があります。
例えば「倉庫」や「駐車場」としての目的に沿って利用できる状態であれば、用途性があると判断されるでしょう。
これまで紹介した以下の3つをすべて満たす場合、建物であると判断され課税対象となるので、建築計画を立てる際は気を付けたいところです。
【課税対象となるガレージの基準まとめ】
1.土地の定着性
2.外気分断性
3.用途性
空いている敷地や庭の一部を活用して建てたガレージも、構造によっては、固定資産税がかかる可能性があります。
ガレージを建てる時には、課税対象になるのか、税額は年間いくらになるのかを試算してから建てましょう。
【原則】ガレージにも固定資産税はかかる
先ほど解説したように、ガレージであっても課税対象となる建物の要件を満たせば、固定資産税がかかります。
以下のような駐車スペースを建てる場合には、あらかじめ税負担を考慮しておくとよいでしょう。
【税負担を考慮すべきガレージの例】
・空きスペースに後付けでガレージを建てるケース
・1階部分がガレージになっている住宅を建てるケース
・住宅の横に備え付けのガレージを建てるケース
ガレージとカーポートの違い
駐車スペースという点では共通していますが、ガレージとカーポートは全くの別物です。
両者の違いを以下に示しましたので、参考にしてみてください。
ガレージ |
・3方向以上を壁で覆っている ・屋根がある ・コンクリートブロックなどで基礎がしっかり造られている |
---|---|
カーポート | ・柱と屋根だけの駐車スペース |
ガレージは壁に覆われていることから、大切な車を雨風から守れるようになりますし、防犯面でもカーポートより優れているといえるでしょう。
一方で、ガレージは壁がある分、建築時にはカーポートよりも広い敷地が必要になりますし、基礎工事も必要になるので建築費用も高額になりやすいです。
また、ガレージは先ほど解説した課税対象となる建物の要件を満たすので、固定資産税がかかります。
自宅に駐車スペースを設けるときには、ガレージとカーポートの違いを理解し、自分に合うほうを選ぶことが最善です。
固定資産税がかかるガレージ
ガレージのほとんどは、固定資産税が課税されます。具体的に、どのような形状のガレージが課税されるのか詳しく見ていきましょう。
どのような構造にしたら固定資産税評価額を下げられるのかも、併せて解説していきます。
プレハブ小屋
プレハブ小屋を建築してガレージとして活用する場合には、固定資産税がかかる可能性があります。
一般的にプレハブ小屋はコンクリートブロックの上に建築するので、土地への定着性がないと判断されます。
しかし、ガレージに使うために基礎工事を行い、地面に固定するようにプレハブ小屋を建てた場合には土地の定着性や外気分断性、用途性のすべてを満たすので建物に該当し、固定資産税がかかります。
また、コンクリートブロックの上に建てて地面に固定しなかったとしても、電線などを通すと継続して使用すると判断され、間接的に土地への定着性があると判断されるので注意しましょう。
コンテナハウス
コンテナハウスをガレージとして使用する場合も、固定資産税がかかります。ガレージとして設置されたコンテナハウスは、以下の3つの要件をすべて満たすからです。
【コンテナハウスで固定資産税がかかる3つの要件】
1.土地の定着性
2.外気分断性
3.用途性
コンテナハウスは住宅同様に、固定資産税評価額×1.4%の固定資産税がかかります。
また、建築物に該当するコンテナハウスは住宅同様に、建築前に建築確認申請が必要です。
建築確認申請を行わなかった場合は、罰則を受ける恐れもあるため、忘れずに申請しましょう。
「知らない間に固定資産税が発生してしまった」とならないためにも、コンテナハウスをガレージとして設置する際には、信頼できる不動産会社や建築会社に相談することをおすすめします。
ビルトインガレージ
住宅とガレージが一緒になったビルトインガレージにも、固定資産税がかかります。
ビルトインガレージの場合、住宅部分にしか固定資産税がかからないと誤解されている人も一定数いますが、ガレージ部分にも固定資産税がかかることを考慮しなければなりません。
ビルトインガレージは建物面積が大きくなるため、固定資産税が高額になりやすい点を意識しましょう。
ビルトインガレージの住宅を建てる場合には、経験豊富なハウスメーカーや建築士に相談すれば、固定資産税などのランニングコストまで考えた設計のアドバイスもしてもらえます。
固定資産税がかからないガレージ・カーポート
壁に覆われておらず、屋根と柱だけで構成されているカーポートには、固定資産税がかかりません。
また、3方向以上が壁に覆われているガレージであっても、バイクガレージであれば固定資産税がかからない可能性が高いです。
詳しく見ていきましょう。
カーポート
ガレージと異なり、カーポートは壁がなく屋根と柱だけで構成された駐車スペースです。
建物の要件のひとつである外気分断性を満たさないので建物に分類されず、固定資産税はかかりません。
ガレージとカーポートのどちらを建築しようか迷っており、コストを抑えたい場合は、将来的なランニングコストが安いカーポートを選択するのもよいでしょう。
工事費もガレージよりも、カーポートのほうが安くすむ場合が多いです。
また、カーポートには、以下のメリットもあります。
【カーポートにするメリット】
・壁が必要ない分、省スペースで建築可能
・撤去費用もガレージより安価
・施工期間がガレージよりも短い
・アルミメーカーが製造、販売しているものが多くさびにくい
駐車スペースを建てる場合には、上記のメリットも考慮して自宅のスペースや車の大きさに合わせて選ぶのがよいでしょう。
バイクガレージ
バイクガレージの多くは基礎工事が不要であり、置くだけの物置タイプが多くあります。
そのため、3方向以上の壁と屋根があり、外気分断性の要件を満たしたとしても、土地への定着性がないと判断され、固定資産税がかかりません。
バイクガレージ設置に必要なスペースはそれほど大きくなくてよいので、バイクが趣味の人は、思い切ってバイクガレージを設置してみるのも手段のひとつです。
ただし、ガレージ同様に基礎工事を行い地面に固定する場合には土地への定着性が生まれ、固定資産税の課税対象となります。
住宅の建築前や購入前の段階でバイクガレージの設置を考えている場合は、ハウスメーカーや不動産会社の担当者に相談してみるのもよいでしょう。
ガレージを建てる際の注意点
ガレージを建てる際には、税金以外に注意すべきことがいくつかあります。
詳しく見ていきましょう。
固定資産税を抑えたいならカーポートを建築する
前述の通り、ガレージは建物の要件を満たすので、固定資産税が課されます。
ランニングコストを少しでも抑えたい場合には、ガレージではなくカーポートを建築するとよいでしょう。
カーポートであれば、壁がなく柱と屋根だけなので建物とみなされず、固定資産税はかかりません。
建ぺい率を超えないようにする
ガレージやカーポートを建築する場合には、建ぺい率を超えないようにしましょう。
カーポートは固定資産税の課税対象外ですが、建ぺい率には加算されてしまいます。
ガレージやカーポートの面積を大きくしてしまうと、住宅部分に使える面積が小さくなってしまうため、注意が必要です。
なお、カーポートには建ぺい率の緩和措置が用意されているので、住宅だけで建ぺい率がぎりぎりの場合には、ガレージではなくカーポートを建築するほうがよいでしょう。
ガレージを建てると登記が必要
ガレージは建物として分類されるので、建築後は登記が必要です。
登記申請をしないと未登記建物になってしまい、10万円以下の過料が科せられる恐れもあるため気を付けましょう。
なお、カーポートは建物に分類されないので、登記も必要ありません。
ガレージの建築を考える際は固定資産税も考慮しよう
ガレージは建物の要件を満たすため、固定資産税がかかります。
一方、壁がなく、柱と屋根のみで構成されているカーポートは課税対象外です。
駐車スペースを建築する際には、固定資産税や設置費用なども考慮して、自分に合うものを選ぶのがよいでしょう。
経験豊富で信頼できる不動産会社であれば、ガレージの固定資産税や建築情報も教えてくれます。
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