住宅を購入した後に支払う必要がある固定資産税。どのくらいの金額を払っているのか平均額が気になりますよね。最近では、新築の住宅に対する固定資産税の軽減措置が2024年まで延長されました。そこで今回は、固定資産税の基本の計算方法や軽減措置について紹介します。新築住宅とマンションでの税金のかかり方の違いなども解説します。
この記事の目次
一戸建ての固定資産税はいくら?【基礎知識と平均額】
念願の一戸建てを購入した後にやってくる固定資産税。何にかかる税金なのか、一戸建ての場合の平均額などを紹介します。支払い方法もいろいろと選べるので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
固定資産税とは
固定資産税とは地方税のひとつで、不動産などの固定資産に課せられる税金のことです。土地や家屋などの不動産を購入後、毎年払い続けます。一戸建ての場合、土地にかかる固定資産税と建物にかかる固定資産税のそれぞれの合計金額を支払う必要があります。
一戸建ての固定資産税の平均額
一戸建ての固定資産税の平均額は、10万円~15万円ほどです。固定資産税の税率は1.4%が標準ですが、地域によって変動します。そのため住む場所によって同じ土地の広さ、建物の大きさでも支払う固定資産税の金額が違ってきます。
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固定資産税の支払い方
固定資産税は毎年1月1日時点に、その土地と建物を所有している人が払います。もし年の途中に別の人に売った場合、所有期間の割合で元の持ち主と今の持ち主が分担して払うのが一般的です。
毎年4月~6月ごろに自治体から固定資産税の納付書が届きます。支払い方法は、6月・9月・12月・翌2月と年4回に分けて払う仕組みです。現金だけでなく、口座振替やクレジットカード払いもできる自治体が多いです。クレジットカード払いならポイントも貯められてお得です。
年数が経つと固定資産税は少しずつ減額していく
建物は年数が経つと、劣化などで価値が下がっていきます。そのため耐用年数として年数ごとに劣化分の下げ幅が決められています。木造一戸建てなら、22年程度。鉄筋コンクリート製だと50年程度で価値が下がると言われており、素材によって耐用年数が異なります。建物は年数を経ると価値が下がっていくため、その分建物にかかる固定資産税も安くなりますが、ゼロにはなりません。
一戸建ての固定資産税はいくら?【基本の計算方法】
固定資産税の計算方法は少し複雑ですが、理解しておけば出費に備えられます。住宅の土地、建物それぞれに固定資産税が課されるため、種類ごとに基本の計算方法を紹介します。
土地の固定資産税の計算方法
土地の固定資産税の基本的な計算方法は、「固定資産税評価額(課税標準額)×税率(標準は1.4%)」です。この土地の固定資産税評価額(課税標準額)は、実際購入した価格の約70%だと言われています。
例えば、2,000万円で購入した土地の70%は、1,400万円。その1,400万円が固定資産税評価額(課税標準額)で、これに税率の1.4%を掛けると19.6万円になり、この19.6万円が土地の固定資産税分です。しかし実際の土地の課税標準額は、路線価によって決まります。路線価とは、国道や県道などの周辺の土地を評価したもので、路線価は原則3年ごとに見直されますが、ほとんどの場所でそれほど値動きはしません。また郊外などの大きい道路がない場合は、地域ごとに決められた倍率で計算されます。
建物の固定資産税の計算方法
建物の固定資産税の基本的な計算方法は、「固定資産税評価額×税率(標準が1.4%)」です。固定資産税評価額とは、税率を掛ける前に軽減税率などを計算し調整し終わった、実際の建物を評価したものになります。建物の固定資産税評価額は、「再建築価格×経年減点補正率」で求めます。この再建築価格は、新築時の建設費です。経年減点補正率は、経年劣化などで価値が減るのでそれに応じて減額する率です。新築の場合、建築費の約60%が評価額と言われています。
例えば、建築費が1,500万円の場合、その60%の900万円が建物の固定資産税評価額で、これに1.4%の税率がかかり12.6万円が建物の固定資産税という計算です。また、すべての固定資産は、3年ごとに見直される仕組みです。
一戸建ての固定資産税を軽減するために知っておくこと
固定資産税を賢く抑える方法があります。そのため土地、建物それぞれ軽減措置があることを知っておきましょう。ただし軽減措置は自動で適用されるわけではないので、しっかりと準備をしておくことが大切です。土地や新築の建物に対する軽減措置を紹介します。
土地に対する軽減措置
住宅用地と言われる住宅を建てて住むための土地には、税の軽減措置があります。住宅用地の軽減措置は土地の広さによって軽減する割合が異なります。住宅の面積が、200平方メートル以下は小規模住宅用地として分類され、課税標準額の1/6に。一方住宅の面積が200平方メートルより広い場合は、一般住宅用地として分類され課税標準額の1/3になります。また、土地に関しての軽減措置の期間は決められていません。
新築の住宅に対する軽減措置が2024年まで延長!
新築の住宅なら、基本的には3年間、マンションなどの場合は、5年間、評価額の2分の1が軽減措置されます。ただし、条件と期間が決められているので注意が必要です。
適用条件
- 2024年3月31日(令和6年)までに新築された住宅であること
- 住宅の居住部分の床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下であること
- 共同住宅は居住部分の床面積に廊下や階段などの共用部分の床面積をあん分し、加算した床面積で計算すること
- 併用住宅は居住部分の割合が1/2以上であること
- 一戸建て以外の貸家住宅は、一戸につき40平方メートル以上280平方メートル以下であること
2022年4月1日(令和4年)からは、土砂災害特別警戒区域等の区域内で住宅建設を実施する場合、市町村長が行った勧告に従わないで建設されたものについては対象外です。
また、長期優良住宅ならば、軽減措置が2年延長になり、住宅は合計5年、マンションは合計7年になります。
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軽減措置を受けるには申請が必要
固定資産税の軽減措置を受けるには、自分で「住宅用地等申告書」を作成し、市区町村役場へ申請が必要です。申請には期限があり、新築を建てた場合は、建築した翌年の1月31日までに申請しなければいけません。申請期限を過ぎると軽減措置の特例を受けられなくなるので、気を付けてください。特に土地に関しては軽減措置の期限がないため、申請漏れはかなりの痛手になるでしょう。
※家屋調査等の実施状況や建物の種類によっては、申請が不要な場合もありますので、所管の役場に確認すると安心です。
一戸建てとマンションの固定資産税はいくら違う?
新築注文住宅とマンションでは固定資産税が変わるのでしょうか?同じ地域・同じ価格で購入したケースを基に違いを紹介します。住宅には長期間固定資産税がかかるので、短期的・長期的な視点から考えてみてください。
ポイントは建物の評価額
一戸建てだと、所有している土地と家の把握が簡単です。一方マンションの場合、住んでいる部屋の広さが建物の評価額のベースになり、土地はマンション全体の土地を戸数で割った面積が所有分とみなされます。そのためマンションだと、土地の保有面積が広くない場合が多く、土地の評価額は低い傾向ですが、建物の評価額が高くなることが多いです。また、土地と建物を合わせて10とした場合、一戸建ては土地が7:建物が3、マンションは土地が3:建物が7の割合と言われています。
木造の新築注文住宅はマンションより固定資産税が安い
同じ地域の新築注文住宅とマンションでも、経過年数とともに固定資産税に差が出てきます。土地の価格は数十年経っても値動きしにくいですが、建物は経年劣化等で価値がどんどん下がります。そのため土地の価格だけ考えると、一戸建てよりマンションの方が、保有面積が小さいのでお得に感じるかもしれません。
しかし、木造の新築注文住宅の耐用年数は22年で、早く評価額が減っていきます。一方マンションは47年の耐用年数なので、不動産の大半の割合を占めているマンションは長期間緩やかに価格が下がるため、結果的に木造新築注文住宅の方が固定資産税は安く済むでしょう。
新築住宅の固定資産税評価額の決め方
新築住宅の固定資産税評価額は、固定資産評価基準を元に、どのような資材や設備で施工されているか家屋調査を行い、再建築費を基準として算出します。
算出の際は、資材や設備などの再建築費評点数と、構造及び用途などで設定される経過年数ごとの減価率、地域ごとの物価水準や工事原価に含まない設計管理費、一般管理費等負担額の費用が加味されます。
家屋調査のタイミングは?
家屋調査のタイミングは新築・増築後1~3ヶ月以内です。
所有者の立会が必要ですが、断ることもできます。立会を断ると書類のみで判断するため、評価額が高く査定されてしまう場合があります。
固定資産税評価額に納得がいかない場合は再審査を依頼できる
固定資産税評価額が実態よりも高く、納得がいかない場合は、市町村に再調査を依頼できます。ただし、期間があり、納税通知書を受け取ってから3ヶ月以内となります。ご注意ください。
新築住宅の固定資産税がいくらかを確認して賢く節税しよう
固定資産税の計算方式は少し複雑ですが、しっかり確認することが大切です。利用できる制度があれば漏れなく申請するように準備をしておきましょう。新たに家を購入するのは楽しみですが、無駄な費用を抑えるためにも賢く節税対策をしてくださいね。