結露の発生理由とは?対策を知って快適な住まいを手に入れよう

2024年1月30日

暮らしの中で悩まされる問題のひとつが、窓の結露です。窓にびっしりついた水滴に困った経験がある人も多いかもしれません。この記事では、結露が発生する原因や場所、およぼす影響を解説するとともに、結露が発生しにくい窓ガラスや結露対策を紹介します。快適な家づくりのために、ぜひ参考にしてくださいね。

窓に結露が発生する理由

青い背景に水滴

まずは結露が発生する理由について解説します。寒暖差の大きさや湿度の高さが関連し合うことで、結露の発生へと繋がるためセットで覚えておきましょう。

寒暖差が大きいと結露が発生する

冬は室温と外気温の寒暖差が大きくなり結露の発生原因となります。なぜなら、エアコンやストーブなどの暖房機器を使うため室内の温度が高くなるからです。

通常、暖房機器を使用するときは、部屋を効率よく暖めるために窓やドアを閉め切ります。そうすると暖められる室温と低い外気温の差が開き、結露が発生します。寒い時期に電車へ乗り込むとメガネが曇ってしまうのは、冷えたレンズが急激に暖められることで結露が発生するという原理です。

湿度(湿気量)が高いと結露が発生する

結露は、空気中の水蒸気が水滴となって窓などに付着する現象です。空気中に含められる水蒸気には限界があり、その限界値を超えてしまうと水滴となって現れます。

限界値は温度によって変化します。温度が高いほどたくさんの水蒸気を含められるため、湿気が多くても暖かい部屋では結露が発生しません。それに対し、温度の低い窓ガラス近辺では限界値が低くなってしまいます。そのため、湿度が高いと空気中に含みきれなくなった水蒸気が結露として発生します。

窓以外で結露の起こりやすい場所

清潔感のある白いクローゼット

結露は家中の至る所で起こる可能性があります。中には意外と思える場所に発生することも。ここでは、結露の起こりやすい場所を解説します。

押入れ・クローゼット

押入れやクローゼットは、部屋よりも低温であることを見落としがちです。部屋の暖かい空気が押入れに流れ込むと、温度差により結露が発生してしまいます。

また、押入れの外側と外壁が接していると、外気の冷たさで押し入れ内部に結露が発生する可能性も。汗を吸い込んだ布団も湿度が高いため結露の原因になります。

家具・畳・カーペットの裏

壁に面して置いたタンスなどの家具の裏は、暖かい室内であっても温度は低くなりがちです。狭い隙間は通気性が悪く、結露が発生しやすくなります。畳やカーペット下も断熱や防湿が不十分だと湿気がたまるため、結露が起こる可能性があります。

暖房を使用しない部屋・玄関

家の中の水蒸気はわずかな隙間でも通り抜けて、家全体に広がっていきます。暖房を入れていない部屋は窓ガラスや壁がより冷やされているため、結露が発生しやすくなります。

また、玄関も結露が発生しやすい場所です。玄関は暖房されていないことが多いので、ここに暖かい空気が流れ込むと結露が起こってしまいます。

台所・浴室・トイレ

お風呂から出た大量の湯気は、浴室内が冷えてくると結露に変わります。また、キッチンは水回りがある他、調理による湯気も出るため、冷えた窓やシンク下などで結露になりがちです。トイレの中も水が張られているため、湿度が高くなります。トイレ内は室温も低いため、配管部分などにも結露が出やすくなります。

窓の結露を放置すると起こる影響

結露がついた窓の前に置かれた鉢植え

結露がおよぼす影響は、時として深刻な事態になってしまう可能性も考えられます。対策をとるうえで、どのような影響があるのか知っておくことも大切です。ここでは、結露によって起こりうる影響を解説します。

【家屋】カビや悪臭が発生し、家が腐敗する

結露を放置すると窓枠、サッシ、壁材、床材などにカビ、腐食、悪臭などの被害が発生する可能性があります。また、湿気が断熱材の内部に侵入して結露する「内部結露」になると、家自体が腐ってしまう深刻なケースも。腐った木はシロアリが発生する危険があります。そうなると家の基礎にまで被害がおよび、耐震性や強度が落ちてしまいます。

【健康】アトピーやアレルギーの原因になる

結露を放置して発生した黒カビは他のカビと異なり、根を張って素材の中まで入り込む特徴を持ちます。その有害なカビは喘息やアレルギー疾患の原因になると言われており、窓を開け閉めする度に空気中に舞い散る恐れも。さらに、カビを栄養源とするダニの発生リスクも高まってしまいます。

【家具】カビや黒ずみで修復困難になる

窓と同じく結露が発生しやすいタンスや本棚、勉強机など家具の裏側にも黒カビが生える可能性があります。表面のカビなら比較的簡単に取り除けますが、奥まで進行してしまうと除去することは難しいでしょう。

窓辺にかかるカーテンもカビが発生しやすくなります。カーテンに発生した黒カビは、洗濯で落とすのは困難です。

結露が発生しにくい窓ガラス

窓の前に置かれた二重窓ガラスの模型

窓にできる結露を防ぎたいなら、結露対策に特化した窓ガラスを選ぶのがポイントです。ここでは、結露対策に効果的な窓ガラスを3つ紹介します。

Low-E複層ガラス

Low-E複層ガラスは、特殊な金属膜をガラスの表面にコーティングしたもの。赤外線や紫外線をカットする性質なので、通常の複層ガラスよりも結露防止効果や高い断熱性が期待できます。室内の熱が逃げにくく、室外の冷気も部屋に取り入れにくくするため、結露を大幅にカットできるでしょう。

真空ガラス

2枚のガラスの間が真空になっている真空ガラス。このガラスは、真空は熱を伝えないという科学的原理から誕生し、熱が伝わる伝導・対流・放射を制御するのが特徴です。断熱性能がきわめて高い断熱ガラスなので、結露対策に最適と言えます。

樹脂サッシ

窓枠全体が樹脂で構成された樹脂サッシ。熱が伝わりにくい樹脂の利点を活かしています。室内に面したサッシが冷えにくく結露の発生を抑えられます。

家を建てる際にできる結露対策

赤いニット帽を被せた家の模型

新築注文住宅を建てる場合、24時間換気システムを取り入れたり、断熱性や湿気対策に特化した建材を利用したりとしっかりとした結露対策を施すと安心です。ここでは、結露対策におすすめの方法を紹介します。

1.24時間換気システムを利用する

2003年の建築基準法改正で、24時間換気システムの設置が義務付けられました。このシステムが常に稼働していれば、自動的に給気と排気をしてくれるので室内の空気が入れ替わります。24時間換気を止めると結露してしまうため、必ずつけておきましょう。機械の手入れを定期的に行ないとトラブルが起きるので注意してください。

2.断熱性と防湿性を備えた断熱材を使用する

結露を発生させないためには、家の表面温度を下げないことも重要なポイントです。室温は暖房機器を使用すれば暖かさを維持できますが、外壁の断熱が不十分だと温度が下がってしまい結露が発生します。断熱性と防湿性の両方を備えた断熱材を使用すると結露対策として有効です。

3.調湿機能を持つ建材を使用する

調湿機能を持つ壁材や壁紙を使用するのも結露対策に最適です。調湿機能を持つ建材は湿度が高まれば湿気を吸収し、低くなれば湿気を放出するため、適度な室温に保ってくれます。また、調湿性に優れた漆喰や珪藻土などの自然素材を外壁に施すのもおすすめです。

壁紙の対策には吸水性ポリマーを配合したものや、部屋の湿気を排出してくれる通気性壁紙などがあります。床材は、木が呼吸をする機能を持つ無垢フローリングにすると効果的です。これらの建材を使用することは結露対策になるだけでなく、住環境を整えてくれ、快適な暮らしにつながります。

窓にできる結露対策を知り、快適な暮らしを

窓に手をかけて外を眺める女性

結露はさまざまな影響をおよぼすため、しっかりと対策を講じておくと将来にわたる安心に繋がります。また、結露対策をすれば、快適性の向上や省エネなどその他のメリットも生み出してくれ、暮らしの満足度を高められるでしょう。ぜひ結露対策を知り、より良い家づくりを検討してくださいね。