現代でも日本の住宅の多くは木材を用いて建築されています。この記事では木造住宅と鉄骨造住宅の構造の違いや木材の種類、工法、メリット・デメリット、木造住宅に永く住むコツを紹介。鉄骨造との違いや木造住宅のメリット・デメリットを知り、自分たちに合う住宅建築を選んでくださいね。
この記事の目次
木造住宅と鉄骨造住宅の構造の違い
日本の戸建て住宅は構造体に木材もしくは鉄骨を使用することが多いです。木材で建てられたものを木造住宅、鉄骨で建てられてものを鉄骨造住宅と言います。それぞれの構造を見ていきましょう。
木造住宅の構造
木造住宅は土台や柱、壁などの構造体に木材を用いて建てられる住宅のこと。日本の気候や風土に合っているため、古来より家づくりに取り入れられてきました。現在も日本国内の多くが木造住宅です。木造住宅に使われている木材には癒し効果があり、あたたかみのある家づくりをおこなえます。
鉄骨造住宅の構造
鉄骨造住宅は主要の構造体に鉄骨を用いて建設する住宅のこと。鉄骨造住宅では、吹き抜けや大きな窓、広いリビングなど、開放感のある間取りも建てられます。
鉄骨造住宅には、軽量鉄骨造と重量鉄骨造があります。日本の鉄骨造住宅の多くが、軽量鉄骨造です。軽量鉄骨造は、厚さ6ミリ以下の鋼板の鉄骨で建てられています。
逆に重量鉄骨造は、厚さ6ミリ以上の鉄骨で建設します。ビルやマンション、デパートなどの大型建築物に採用されることが多いですが、住宅も重量鉄骨造で建設可能です。
木造住宅のメリット
木造住宅は鉄骨造住宅よりも建築費用を抑えられます。また断熱性や調湿性が高いのも木造住宅の魅力。木造住宅のメリットを解説します。
鉄骨造住宅よりも建築費用を抑えられる
木造住宅は材料費が安く、工期も短いため、鉄骨造住宅よりも建築費用を抑えられます。ただし、木材の種類により、価格も異なります。必ず見積りを取り、予算との兼ね合いを考えながら使用する木材などを決めましょう。
快適に過ごしやすい
木材は断熱性が高く、鉄よりも熱を通しにくいです。外気温が室内に入るのも防ぐため、暑い夏も寒い冬も快適に過ごせるでしょう。
調湿性も高く、空気中の水分を吸い込み、湿気を緩和させ、結露やカビの発生を抑えます。室内が乾燥すると、木材の中に蓄えていた水分を空気中に放出し、乾燥も防いでくれます。
木造住宅のデメリット
木造住宅は鉄骨造住宅と比べると、法定耐用年数が短くなります。また木材の性質上、シロアリなどの害虫被害も受けやすいです。ここでは、木造住宅のデメリットを解説します。
シロアリの被害を受けやすい
木造住宅はシロアリなどの害虫被害を受けやすいです。シロアリはさまざまな隙間から入り込み、木材を食害します。木材の食害対策のためにも、薬剤塗布や防蟻(ぼうぎ)点検を行ってくださいね。
鉄骨造住宅よりも法定耐用年数が短い
住宅は構造体の素材により、法定耐用年数が定められています。木造住宅の法定耐用年数は22年、鉄骨造住宅の法定耐用年数は27年。法定耐用年数は鉄骨造住宅より木造住宅の方が短いです。しかし、定期的にメンテナンスをおこなうと、その分木造住宅の寿命を伸ばせます。
木造住宅の気になるポイント
ここでは木造住宅を建てる上で気になる耐震性や遮音性、また構造体に使用される木材の種類や特徴について解説します。
木造住宅の耐震性
構造的には鉄骨造住宅のほうが耐震性は高いと言われていますが、建築基準法の“新耐震基準“をもとに建築された木造住宅は、震度6強~7程度の地震ならば倒壊・崩壊までは至りません。震度5強程度の地震であれば、建物の機能を保持できます。
木造住宅は鉄骨造住宅よりも柔軟性が高くて軽量なため、地震の揺れによる影響も少ないという側面も。建築基準法の“新耐震基準“をもとに建築された住宅であれば、どの工法でも耐震性に不安を抱える必要はありません。
木造住宅の遮音性
木造住宅と鉄骨造住宅では遮音性に大きな違いはありません。近年、建築された木造住宅は気密性が高くなっているため、窓を閉めれば外からの騒音はかなり防げます。
木造住宅で防音対策が必要となる部分は家の床と天井です。しかし、1階の天井に吸音材を敷き詰めたり、2階の床材の下に遮音マットや吸音材を敷いたりすると、遮音性を高められます。
また、床やスピーカーなどの音響の下にマットを敷いたり、洗濯機の下に防音ゴムなどを一枚入れたりすると、振動が減り、別の部屋・階に伝わる音を軽減できます。
木造住宅の構造体に使用する木材
木造住宅は施工箇所で使用する木材が異なります。施工箇所にそれぞれ最適な木材を使うと、耐久性や耐震性を高められます。
柱にはヒノキやスギ、ベイツガなど、強度があり、節がない木材が使われることが多いです。梁には曲げに対する強さがあるカマツやカラマツ、ベイマツ、ツガなどが使われます。土台には強度が強くて腐敗しにくく、害虫や湿気にも強いヒノキやクリ、ヒバ、ベイヒバ、ベイヒなどを使うケースが多いです。
敷居や鴨居、窓枠・ドア枠、見切り材などの造作材には、ヒノキやスギ、サクラ、カバなどの綺麗な見た目で寸分の狂いもないものが使われます。
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木造住宅の工法の種類
木造住宅の工法には木造軸組工法、木造枠組壁工法、木造ラーメン工法があります。
木造住宅の工法①木造軸組工法
木造軸組工法は日本の伝統的な建築工法です。在来工法とも呼ばれています。木造軸組工法は、土台となる基礎の上に柱を立て、梁を水平に渡し、筋交いで補強しながら家を建てていきます。他の工法よりも設計や間取りの自由度が高く、リフォームや増築をしやすいです。しかし、木造枠組壁工法よりも耐震性が低くなります。
木造住宅の工法②木造枠組壁工法
木造枠組壁工法は、木製パネルと角材から作られたパネルを使って、壁・床・天井の面を造って建築していく工法。ツーバイフォー(2×4)工法が代表的で、角材のサイズにより、他にツーバイシックス(2×6)、ツーバイエイト(2×8)、ツーバイテン(2×10)などがあります。耐震・耐風に強いですが、間取りの自由度に制限があり、増築には不向きな工法です。
木造住宅の工法③木造ラーメン工法
木造ラーメン工法は、鉄骨造の工法がもとになっています。太い柱で長方形の枠を作り、それらを組み合わせて建築する工法です。柱や壁が少なく済むため、大空間や大きな窓を取り入れやすいです。また、荷重に耐えられる力も強いです。しかし、木造軸組工法や木造枠組壁工法と比べると、コストがかかります。
木造住宅に永く住むコツ
木造住宅の寿命を伸ばすには、通気性や換気、メンテナンスなどが大事です。木造住宅に永く住むコツを紹介します。
通気性や日当たりを考えて家を建てる
木造住宅の腐食の原因は湿気です。湿気がこもらないように、通気性の良い家づくりが大事。通気性を良くするには、窓の配置が大切です。一直線で結べる、対立した位置にそれぞれ窓を設置してください。そして、窓に高低差をつけると、低い位置の窓から冷たい空気を取り入れることができ、高い位置の窓から熱気を逃がせます。
こまめな掃除・換気を行う
木造住宅の寿命を伸ばすには、こまめな掃除と換気も大事です。こまめに掃除をしていると、家の異常を早期に発見できます。また、月に1回、ワックスがけもおこなってください。木材が傷むのを防げます。湿気により、シロアリの発生を促したり、木材部分が腐食したりする恐れがあるため、水回りの換気もしっかりとおこないましょう。
定期的にメンテナンスを行う
外壁・屋根・フローリングや設備など不具合が出る前にこまめにメンテナンスをすると、木造住宅の寿命を延ばせます。しかし、設備本体や外壁などの大きな修繕工事にはお金がかかります。定期的にメンテナンスをおこなうためにも、メンテナンス費用を積み立てておきましょう。
木造住宅のモデルハウスを見学しよう
木造住宅の家を建てたい人や、より詳しく知りたい人は、住宅展示場に足を運んでみてください。また、住宅展示場に行く前にモデルハウスを予約しておくと、待ち時間なしでモデルハウスを見学できますよ。
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実際の空間を多くのハウスメーカーで体験してみましょう。予算や家族構成、ライフスタイルなどを考慮しながら、理想の住まいについてお気軽に相談できます。
木造住宅のメリット・デメリットの両方を知ろう
木造住宅には建築コストが抑えられるだけでなく、自然の落ち着きが感じられるなどのメリットもあります。一方で、シロアリ被害などのデメリットもあります。木造住宅を検討している人は、メリット・デメリットや対策を知り、工法にも着目して理想の家づくりをおこなってくださいね。