部屋の印象は照明で決まる!?オシャレ見えも叶う、住心地の良い照明の選び方

2023年7月11日

家を建てる際は間取りや家具の配置を優先的に考えがちですが、住宅設計のポイントはそれだけではありません。住まいや部屋の印象をワンランクアップさせたいなら、照明にこだわることも大切です。
しかし家の照明は設計図に盛り込まれていないことも多く、入居時には埋込式の照明やシーリングがすでに設置されている場合もあり、自分で自由に決められないと思っている方も少なくありません。また自由に選べたとしても、逆にどのような照明がよいのかわからないという声もよく耳にします。
そこで今回は、照明コンサルタント兼照明デザイナーの酒井大輔さんに、家づくりにおける照明の重要性や考え方などについて伺い、住み心地がよくオシャレ見えも叶う照明の選び方を教えていただきました。

酒井 大輔(さかい だいすけ)/Merlighting 代表

酒井 大輔(さかい だいすけ)/Merlighting 代表

照明コンサルタント・照明デザイナー。
個人住宅や店舗・施設の照明を、コンセプト立案から企画・設計・監理・デザインまでトータルでコーディネート。観光地・商店街などの光環境再開発計画を展開し、光を通じてあらゆる社会的な課題解決にも取り組む。

Merlightingリンクhttps://merlighting.com/

照明の重要性を知ろう

照明の重要性を知ろう

家づくりにおいて後回しにされがちな照明ですが、酒井さんは「世間がイメージする照明の役割が戦後からずっと変わっていない」ことに触れ、そのようなイメージをまず払拭する必要があると言います。

「照明って、“明るければよい”と感じている人がまだまだ多いのではないでしょうか。戦後の高度成長期に蛍光灯が普及しましたが、部屋が暗い=貧しいと感じる感覚はまだ多くの人の中に染みついていると思います。

最近ではLEDが主流になっていますが、これも明るさを追求したもの。まずは、“照明=明るくするだけのもの”というイメージを払拭して、照明の役割を改めて知っていただきたいですね

一般的に個人の家づくりでは、設計の段階で照明までしっかりとデザインする人はそう多くありません。これまでに多くの商業施設で照明デザインを手掛けてこられた酒井さんは、このような世間の風潮をどのように感じているのでしょうか。

「最近はSNSの影響もあり、オシャレな照明デザインを目にすることが多くなりましたよね。家づくりをする人の目が肥え、照明をオシャレにしたいというニーズは高まっているものの、いざ家が完成しても写真で見たようなオシャレな空間とは違うものができあがっている――そんなギャップを感じている人も多いように感じます」

その理由は、ハウスメーカーとの打ち合わせの中で照明をどうするかという段階までたどり着いていないためだと酒井さんは言います。
家づくりでは間取りや壁紙、外構をどうするかなど、決めなければならないことが多いことに加え、そもそも照明に詳しいプロが少ないため後回しになることも少なくないそうです。

しかしおうち時間を快適に過ごすには、照明は重要な役割を担っています。では照明にこだわりたいなら、どのようなことに取り組めばよいのでしょうか。まずは、設計時に考えておくべきポイントについて酒井さんに伺いました。

後悔しないために!設計時に考えておくべきポイント

酒井さんいわく、「一番重要なのはハウスメーカーや施工会社との打ち合わせで『照明にこだわりたい』という意思を伝えておくこと」。ただし、単純に「オシャレな照明にしたい」という希望だけでは具体的にどのような照明を提案してよいかメーカー側が困ってしまいます。

そこで、まずは「勉強や仕事をするために明るくしたい」「リラックスムードを演出したい」など、部屋ごとの照明の目的を明確にしておくことがポイントです。

デザインや感じ方を言葉で表現するのは難しいため、自分の好みやセンスを伝えたいなら視覚的な方法をとるのがおすすめ。お気に入りの照明の事例を集めて共有すると、より伝わりやすくなります。

もっとこだわりたいなら、酒井さんのような照明のプロのコンサルタントに間に入ってもらうことも一案です。

また、高級な照明器具を使用しなくても部屋の雰囲気をランクアップさせることができると酒井さんは言います。

「我が家でもAmazonで購入した安価なスポットライトを組み合わせながら、最新の器具を使用しています。最近よく見かけるようになったレール照明は本当に便利です。スマホで調光できるBluetooth対応のスポットライトで、食事のときや映画を観るときなどシーンによって明るさを使い分けています」

カフェ風やホテルライクな家づくりをしたいと考えている人は、特に照明にこだわっていきたいところ。では次に、空間ごとの設置ポイントについて酒井さんのアドバイスをご紹介します。

プロが教えるオシャレな照明器具。空間ごとの設置ポイント

プロが教えるオシャレな照明器具。空間ごとの設置ポイント

照明を考えるときは部屋ごとにコンセプトや目的を決めて進めることが大切です。

リビング&ダイニング&キッチン

「最近はLDKをひとつの大きな空間として捉える傾向にあるので、やはり先ほどご紹介したレール照明がおすすめです。デザインの自由度が高まります。

ダイニングのペンダント照明はあえてシンボリックなデザインのものを選び、遊び心を出してもよいでしょう」

ペンダントライトは、日中と夜で、それぞれ違った形でダイニングのアクセントに

観葉植物などグリーンを置く場合は、下から光をあてる「アッパーライト」という照明がおすすめとのこと。目線より下からの光はリラックス効果があり、落ち着いた部屋を演出できるそうです。

寝室

寝室は、その名の通り寝るための部屋です。「寝室=良質な睡眠をとる場所」と目的を明確にできるなら、明るい照明を設置する必要はないと酒井さんは言います。

「例えばホテルだと、ヘッドボードに間接照明がありますよね。本当に寝るだけの空間であれば、あれくらいの間接照明だけで十分です。

しかし寝室が仕事部屋を兼ねていたりお化粧をする場所でもあったりと寝る以外の用途もあるなら、ダウンライトはつけておく。そういった用途を考えながら照明を選ぶことが重要です」

また快適に目覚められるかどうかも寝室にとって重要な要素。就寝時にはだんだん暗くなりながら光の色が暖色になり、起床時間にはだんだん明るくなりながら光の色が寒色になるタイマー式の照明を設置するのもおすすめだそうです。

テラス&庭

最近はおうち時間を楽しむ人が増えているため、テラスや庭の照明も家づくりで考えておきたいポイント。「テラス&庭はコンセントさえあればあとから何とかなる」ということなので、まずは設計時にコンセントを付けるように設計者やメーカーに依頼しておきましょう。

「まわりと少し差をつけたいなら、アンビエンテックのテーブルランプがおすすめです。配線いらずの高品質ライトで、置くだけで非日常感がアップします」

特に家のまわりの光は防犯にもなるので、門灯などと併せて照明についても考えておきましょう。

お風呂場

お風呂場も寝室同様、リラックスする場所と考えるなら明るすぎる必要はありません。しかし小さなお子さんがいる場合など、安全のために明るさが必要なケースもあるため、調光できる照明があると便利です。

オシャレな部屋を作りたいなら、照明にこだわろう

オシャレな部屋を作りたいなら、照明にこだわろう

照明は使い方ひとつで部屋の印象をグレードアップさせることができ、生活を豊かにしてくれます。結局は、家を建てる皆さんがそのことに気づくか気づかないかなんです」と照明の重要性を教えてくれた酒井さん。

とはいえどんな照明があるのか情報収集から始めるとなると、時間もかかり大変です。そのような場合は、酒井さんのような照明のプロにアドバイスをもらいながら家づくりを進めていくと安心でしょう。

現在家づくりを進めている人やこれから進める人は、今回ご紹介したポイントを参考に照明について考えてみてはいかがでしょうか。