子どもの才能が伸びる家造りのポイント7つ

2023年7月14日

すでに子育て中の方や将来的に子どもを持つことを考えている方なら、家造りの際に「子どもの才能を少しでも伸ばしてあげたい」「子どもにとってベストな環境を作りたい」と考えるもの。

しかし、乳児、幼児、就学児と子どもの生活習慣は年代によって変化します。いったいどのような基準で家造りをおこなえばよいのか、判断に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、花まる学習会の事業部長として全国で講演会をおこなう相澤樹さんに「子どもの才能が伸びる家造りのポイント」についてお話を伺いました。

相澤 樹(あいざわ たつき)|花まる学習会 事業部長

千葉県生まれ。未就学児のお泊り保育引率リーダー、幼児体育指導員を経て、2006年花まる学習会に入社。これまでに3歳児~中学生までのべ4,000人以上の子どもたちを指導。子どもの行動の背景を見抜く観察眼と的確な指導、保護者へのサポートに定評がある。親と子、それぞれの視点から見える世界のギャップを埋め、相互理解を深めることが、よりよい親子関係の形成に繋がると提唱する。

人材育成・社員採用の責任者、神奈川ブロック長を経て、2016年度に関西ブロック長として大阪に赴任。現在は花まる学習会の事業部長として活躍中。

講演「あと伸びする子の家庭の習慣」や「健やかに子どもが育つ住まいとは」は全国各地で好評を博しており、2016年3月には『60点でも伸びる子、90点なのに伸び悩む子』(あさ出版)を上梓するに至る。

ポイント1.現代の子どもに必要なのは「家=安心して寛げる場所」

まずは「子どもにとっての家の役割とは? どのような場所にするべきかを考えてみましょう」と相澤さん。

「最近の子どもは学童や習い事・塾などに忙しく、昔に比べて家で過ごす時間が圧倒的に短くなっていますよね。実際の教育現場を見ていても、平日は睡眠時間を除いて3〜4時間ほどしか家で過ごす時間がない子どもも少なくありません。

親御さんの気持ちもわかりますが、子どもたちは家の外では気を張り続けているので、家の中くらいは“子どもが安心できる場所”であることが大切です。

家造りにおいても、“子どもを育てる家造り”というより、“子どもが安心できる家作り”に比重をおいて考えましょう」

また家は子どもを育む場所でもありますが、子どもが将来家を離れたあとも長く住むのは保護者です。
「子育てを意識しすぎて子ども中心の家造りをしてしまうと、後々住みにくさを感じてしまうことになるため、間取りは普遍的に考えた方がよい」と相澤さんは続けます。

では後々にレイアウトを変更しやすく、かつ子どもが過ごしやすい環境を作るにはどうすればよいのでしょうか。

ポイント2.子どものアイデアを育む“想像力の部屋”

子どもが才能を伸ばすためには、子どもが伸び伸びと過ごせる空間を作ること。相澤さん曰く“想像力の部屋”を作るとよいそうです。

「これまで多くの子どもたちを指導して『幼児期にどれだけ没頭できる時間を取れるかがその後の成長に大きく影響する』と感じています。折り紙や工作、塗り絵など、それぞれの子どもが夢中になれる遊びを見つけて、没頭できる環境を作ってあげることで想像力を育む力につながります。

できればテレビが視界に入らないような遊びのスペースをリビングの一角に作るとよいですね。

リビングに和室を隣接させる間取りは人気ですが、子どもが小さい時はそのスペースを子どもの想像力を育てる場所に充て、子どもが大きくなったらスタディルームや収納、作業スペースなどに変更するのがおすすめです」

また子どもの“想像力の部屋”は、広すぎないことも重要です。広すぎると集中力が散漫になる原因になります。

加えて“想像力の部屋”は、段差をつけて他の部屋よりも掘り下げると穴蔵効果を生み、さらに集中力アップが期待できるそうです。

ポイント3.効果的なリビング学習の環境を

小学校にあがると、勉強や宿題という大きな壁が立ちはだかります。最近はリビング学習をおこなう家庭が増えていますが、これには相澤さんも肯定的です。

「子どもたちが勉強をする時には適度な刺激が必要です。無音の部屋に一人で入ってさぁ宿題をしてくださいと言われても、実は子どもたちは集中できません。
お母さんの気配や生活音が感じられるリビングの方が、子どもにとっては勉強に集中しやすい環境です」

また、間取りを考える段階で造作のスタディスペースを作る必要はないと相澤さんは言います。

「最近はちょっとした外付けの簡易デスクが豊富にあるので、部屋の隅に置くだけで十分です。将来的なレイアウト変更を見据えると、造作家具でない方がよいのではないかと思います」

ポイント4.遊びにも活用できる実用的なホワイトボード・黒板

子どもの才能を育むために相澤さんがおすすめするリビングアイテムは、ホワイトボードや黒板です。
その活用方法を、相澤さんは「リビングの一角に置いて家族間のコミュニケーションツールとして活用するのも便利です。またホワイトボードを使った勉強が好きな子どもも多いので、家族でクイズを出し合って楽しむのもおすすめ」と解説します。

情報を書いて共有するだけでなく、親子のコミュニケーションをスムーズにもしてくれるアイテムです。

ポイント5.子ども部屋は朝の明るさが大切

「子ども部屋は南向きがよいと言われることがありますが、最近の家は空調管理が整っているため子ども部屋の方角は気にしなくてよいと思います」と相澤さん。

ただし、一つだけ気をつけておきたいポイントがあるそうです。

「子ども部屋は、朝の日差しが入る場所を選んでください。例えば、光の入らない遮光性のカーテンを使っていたり雨戸を閉めていたり、いつまでも日差しの入らない環境だと、子どもが朝起きられなくなってしまいます。朝に弱い子どもを起こすのは保護者の方も大変ですし、生活リズムの乱れは学習にも影響があります」

また前述のとおり、子ども部屋はいつか子どもが巣だったときに不要になってしまう可能性が高いので、作り込みすぎないこともポイントだそうです。

ポイント6.家族の目線を合わせるツール。家庭菜園のススメ

食育のために家庭菜園を始めるという声もよく耳にしますが、家庭菜園は子育て全般においてよい影響があると相澤さんは言います。

「普段は向き合う関係になりがちな親子が、横並びに目線を揃える――親子が同じものを一緒に見て同じ方向を向く行為は、子どもの才能を伸ばすのにとても重要なポイントです。
成功すれば同じものを食べられるし、失敗すれば一緒に原因を考えられる。植物の観察を通していろいろなことを一緒に考えることができる家庭菜園は、非常におすすめですね」

大規模な菜園を作る必要はありません。玄関先でトマトを育てたりキッチンにハーブを置いたり、小さなところから始めるのもOK。
ベランダや庭先で家庭菜園をしたい方は、下記の記事を参考に準備しましょう。

ポイント7.読書好きになるファミリーライブラリーのコツ

子どもの想像力が豊かになるという理由で「読書はよい」と言われていますが、子どもがより読書を好きになるためには、本棚の設置方法を工夫するとよいそうです。

「我が家は本が増えてもよいように家を建てたときに大きめの本棚を設置しましたが、この時、背表紙ではなく表紙を見せる置き方を採用しました。そうすると子どもが本を手に取りやすくなり、自主的に本を読むようになったんです。お気に入りの本を飾って楽しんだりもしています。

ファミリーライブラリーの設置場所は家のどこでもよいので、ぜひ表紙が見えるように収納できる本棚を設置してみてください」

子どもの才能を伸ばすには、子どもが伸び伸びできる家造りを考えよう

毎日習い事や学校に忙しい子どもにとって、家はホッと一息つける場所。どうしても「家でもっと勉強してほしい」「賢い子になってほしい」と子どもに期待してしまいがちですが「子どもの才能を伸ばすためには、伸び伸びできる環境を整えてあげることが大切」だと、相澤さんは言います。

家造りを現在進めている方もこれから始めるという方もここを参考に、子ども中心の家造りではなく、家族みんなが安心できる家造りを考えてみてはいかがでしょうか。