家具に使用される木材にはさまざまな種類があり、種類ごとに特徴も異なります。ここでは木材の種類とそれぞれの特徴、加工の種類などを紹介します。家具選びや、DIYで使用する木材選びなどの参考にしてみてください。
この記事の目次
木材の主な種類は「針葉樹」と「広葉樹」の2つ
木材には、大きく分けて針葉樹と広葉樹の2つ。針葉樹は英語で「ソフトウッド」、広葉樹は「ハードウッド」と呼ばれているように、これらの違いは密度にあります。ここでは、それぞれの特徴をチェックしましょう。
針葉樹の特徴
針葉樹は成長が早いため、密度が低く軽量。比較的やわらかく加工もしやすいのが特徴です。持ち運びのできる折り畳み式のテーブルや、インテリア雑貨などにおすすめ。触り心地が良く、子ども向けの家具にも適しています。塗料の浸透性が高く、水性の塗料でも色がのるためDIYでも重宝されています。ただし、下穴を開けずにビス打ちも可能ですが、ビス打ちにより割れてしまう恐れもあるので注意が必要です。
広葉樹の特徴
広葉樹は成長が遅いため、密度が高いです。硬くて重い材質のため、食器棚や本棚といった重いものを収納する家具などにて使われています。高級家具にもよく使われているほど強度があり傷がつきにくいので、大切に使いたい家具にもおすすめ。ただし、DIYに使える種類も多数ありますが、加工が難しくて塗料も浸透しにくいためDIY初心者には扱いにくいかもしれません。
木材の種類と特徴【針葉樹】
ヒノキやパイン、スギなど、同じ針葉樹でも種類によって色合いや香り、用途が異なります。ここでは、それぞれの木材の特徴を紹介します。
ヒノキ(檜)
ヒノキは世界最古の木造建造物「法隆寺」にも使われています。その強度は、切ってからも約200年間増し続けると言われるほどです。香りや肌触りが良く、防虫や殺菌、耐久性に優れており、腐朽しにくいのも特徴です。フローリングやヒノキ風呂など、人の肌が触れやすいところにもよく使われています。
パイン(松)
パインはやわらかく加工しやすく、価格も比較的安価なのでDIYに最適です。全体的に油分が多く、年数が経つうちに白っぽい黄色からツヤのある色合いへと変わっていきます。見た目は、木目に節が多くて自然な風合いが魅力です。
スギ(杉)
スギはとても軽量です。流通量が多く比較的安価。他にも、スギで作られた家具は楽に持ち運べるというメリットがあります。気密性が低くて湿気を逃しやすいため、変形も生じにくく、床材として用いられることも多いです。
木材の種類と特徴【広葉樹】
広葉樹には、ナラ(オーク材)やブナ(ビーチ)、ケヤキ、世界三大銘木と呼ばれるウォールナット、チーク、マホガニーなどがあります。ここれは、それらの特徴や用途を紹介します。
ナラ(オーク材)
ナラは、重厚で硬いため耐久性に優れており、反りにくい木材です。また、耐水性もあります。見た目は、木目に入った虎斑(とらふ)と呼ばれる虎の毛並みに似た模様が特徴的。大型家具や床材に人気です。
ブナ(ビーチ)
硬いのにしなやかなブナは曲げに強いので、イスの背やフレーム、ベビー用のおもちゃにも使われています。また、白っぽい色をしているため、明るい印象の北欧風家具にも用いられています。
ケヤキ
ケヤキは、くっきりとした美しい木目が特徴的な木材。耐久性があり、大黒柱に使われることも多いです。他にも、お椀やお盆などにも使用されます。
ウォールナット
和名でクルミと呼ばれるウォールナットは、世界三大銘木の1つです。チョコレートのような色と縦じまの木目が特色。加工性や接着性、耐衝撃性に優れており、テーブルといった大きめの家具や高級な家具にふさわしい木材です。
チーク
チークも世界三大銘木の1つです。耐久性が高く害虫や湿気にも強いため、昔から家具によく使われてきました。チークに含まれる天然の油分が月日によって黄褐色に変化し、味わい深くなるのもこの木材の利点です。
マホガニー
世界三大銘木、残る1つはマホガニー。ワシントン条約によって天然木の伐採や取引が制限されたため、現在では特に希少価値のある木材です。
リボン杢(りぼんもく)と呼ばれる一定周期でできたしま模様の木目が特徴的。上品でかつ高級感があるため、宮殿の装飾にも使われてきました。頑丈な材質ですが、軽量で加工しやすいのも魅力。経年により赤みかかった色に変わり、艶もでてきます。アンティーク調の家具に向いているでしょう。
木材の加工の種類と特徴
家具で使用している木材には、加工されていないものと加工が施されているものがあります。続いては、加工の種類について解説しましょう。
無垢材
無垢材とは、原木から切り出されたままの木材のこと。湿度の変化や乾燥に影響されやすく、そのために反りが出ることもあります。
集成材
集成材は人工の木材です。小さな木材を接着剤などで貼り合わせて作られています。無垢材よりも強度が安定しているため、扱いやすいでしょう。パインやアカシア、ヒノキの他、草に近い材質のファルカタという木材の集成材などがあります。
合板
合板は、薄い板材(ベニヤ板)を奇数枚貼り合わせた強度が高い木材のこと。断面に見られる積層された模様が特徴です。また、こちらの加工板は比較的安価に入手できます。
木材の大きさや厚さなど、種類が豊富です。カラマツを主とした針葉樹合板やチップを互い違いに積層したOSB合板、フタバガキ科の広葉樹の総称ラワンの合板などがあります。
その他の加工木材
主要なのは上記の木材ですが、以下のような加工木材もあります。
- SPF材:スプルーフ(エゾ松)、パイン(松)、ファー(もみ)が混在した木材です。それぞれの頭文字を取ってSPF材と呼ばれています。SPFを高熱乾燥処理したサーモウッドも人気。高熱乾燥処理により、防水や防虫、防腐効果が高まり耐久性が向上しました。
- 突板:無垢材を薄くスライスしてベニヤに貼り付けたもの。
- 化粧合板:印刷したプリント紙を貼り付けた加工木材です。プリント化粧合板とも表記されます。
DIYにおすすめの木材塗料
塗料によって浸透性や木材の見え方、重ね塗りの見え方が異なります。ここでは、DIYにおすすめの木材塗料を解説します。それぞれの着色方法、色方法や着色後の木目、重ね塗りについて紹介します。
ニス
木材の表面に塗って仕上げる、半透明の塗膜。着色後の木目は無垢の状態よりも薄くなり、重ね塗りする度に色が濃くなるのが特徴です。
ワックス
少しだけ木材内部に浸透し、木材の表面に薄い膜を形成するのがワックス。これで着色すると、夏目(線と線の間の薄い色をした面)の部分を中心にかすれたような印象に仕上がります。ニスとの大きな違いは、重ね塗りをしても色濃度の変化が小さい点です。
ステイン
木材の内部にしみ込み、木材自体に着色するのがこのステイン。木目を活かした着色をしたいときにおすすめの塗料です。着色した後は夏目に良く浸透し、木目の濃淡がはっきりと際立つでしょう。また、重ね塗りするごとに色濃度の変化は小さくなります。
しかしステインには保護機能がないため、他の塗料と併用するのが一般的です。木の肌触りを残したい人は蜜蝋ワックス、塗膜も着色もきちんとおこないたい人は油性ウレタンニスとの併用が良いでしょう。
木材の種類と特徴を知って家具を選ぼう
木材は、針葉樹と広葉樹それぞれの特性に合わせて選びましょう。長期的に使用する家具は広葉樹の木材、DIY初心者は加工しやすい針葉樹の木材がおすすめです。また、木材家具のあるモデルハウスを見学するのも勉強になるので、ぜひ住宅展示場に足を運んでみてください。