2階建てと平屋はどっちがいい?暮らしやすさや税金面などポイントを徹底解説!

2024年4月22日

新築住宅の主流は2階建てですが、近年は若年世帯の間で平屋ブームと呼べる現象が起きており、おしゃれな平屋が増えています。2階建てと平屋はそれぞれに良さや特徴があるため、決める際にどちらにするかは悩ましいところでしょう。そこでこの記事では、2階建てと平屋を比較する際のポイントについて解説します。

【2階建てと平屋】比較検討するときの考え方

指でつままれた家の模型

家を建てる際に2階建てか平屋かを選択するにあたって、比較するポイントがいくつか存在します。検討する際には、それらのポイントを比較し、長期的な視点で考えることが必要です。優先順位の付け方とあわせて、その考え方を見ていきましょう。

(1)比較ポイントを知る

まずは比較するポイントをすべて洗い出しましょう。比較するポイントは大きく分けて以下のように5つあります。

①費用
②土地の条件
③暮らしやすさ
④安全面
⑤家族構成・世代

それぞれの詳細については後述します。

(2)長期的な視点で比較する

今が20代でも、想定している今後のプランによって結論は変化します。終の住処と定めてバリアフリーにしやすい平屋を正解と考えるのか、暮らし方の変化に合わせてリフォームや買い替えを視野に入れるのかなど、 段階的かつ具体的な人生設計を行ったうえで比較する必要があるでしょう。

(3)比較ポイントから希望を見える化する

比較するポイントを把握し長期的な視点をもって比較検討できたら、それらの優先順位をつけていきましょう。ここだけは譲れないというものから優先順位を付けて、自身の希望を可視化します。

優先順位を付ける際には、費用→土地の条件→それ以外と考えるのがおすすめです。

その理由としては、変更が難しい事項から検討することで家族間の話し合いがスムーズになります。まず目安となる予算を決め、その予算の中から土地を選び、土地の条件をもって建物について検討していきましょう。

選択するうえで大事なのは、ご家族のライフスタイルや希望に合うほうを選ぶことです。
イメージだけで決めず、広く情報を集めて家族で検討を重ねましょう。

【2階建てと平屋】比較ポイント①費用

間取りが書かれた紙と計算機

ここからは、5つの比較するポイントを具体的に見ていきます。はじめに解説する比較ポイントは費用面です。費用は建築時に必要になる費用と、建築後に生じる費用があります。それぞれ違いを確認しましょう。

建築時にかかる費用

同じ延床面積の場合、平屋の方が使用する資材が多いため、価値が高い傾向にあります。また、2階建てより平屋の方が基礎や屋根の面積が広くなる分、坪単価が高くなりやすい傾向があるようです。一方、同じ坪数の場合、平屋より2階建ての方が外壁を高くする分、高額になるケースが多くなります。

ただし建築時にかかる費用については、間取り、内装、断熱性能、浴室やキッチンなどの住宅設備によっても大きく変わるので、一概には言えません。

建築後にかかる費用

建築後に毎年かかり続ける費用は、主に税金とメンテナンス費用です。税金は、固定資産税と都市計画税がそれぞれ発生します。土地に関する税金は平屋と2階建てで変わることはありません。しかし、建物は評価額が高い方が税金も高くなります。例えば基礎や屋根面積が広ければ、それだけ資材を多く使用していることを理由に、平屋の方が評価額を高く判断され、2階建てより固定資産税が高くなる可能性があります。

メンテナンスについては、経年劣化による外壁や屋根の塗り直し、貼り直しなどの作業が必要です。また2階建ての場合、外壁が広く高さがあるので足場が必要になります。よって外装にかかるメンテナンス費用は、2階建ての方が高くなると言えるでしょう。

【2階建てと平屋】比較ポイント②土地の条件

緑が溢れる住宅街

続いて確認しておきたい比較ポイントは、建てられる土地の条件です。土地の広さと環境について細かく見ていきましょう。

土地の広さ

同じ延床面積の家を建てると想定すると、平屋は2階建ての倍の土地が必要になります。そのため、敷地面積が限られる住宅密集地で2階建てと同じ延床面積の広さを確保することは困難です。さらに延床面積を減らそうとすると、部屋数が少くなってしまう可能性もあります。土地が狭い場合でも、2階建てならば平屋に比べて延床面積を確保しやすいでしょう。

土地の環境

2階建てに比べて広めの土地が必要となる平屋は、周辺環境から大きな影響を受けます。環境によっては、風通しが悪い、家の内部に光が届かないなどの問題が発生し、住みにくい家になってしまう可能性もあるでしょう。そのため、間取りや窓の位置にこだわったり、中庭を設けたりなどの工夫をする必要があります。

【2階建てと平屋】比較ポイント③暮らしやすさ

木の温もりを感じる部屋

続いて、利便性や快適性など暮らしやすさに関する比較ポイントを見ていきます。平屋と2階建て、それぞれの特徴をしっかり踏まえたうえで比較しましょう。

間取りや動線などの利便性

2階建ては、上下の移動が加わることで動線が複雑になります。そのため、ライフスタイルに合わせて間取りを配置するとともに、利便性の高い動線を考える必要があります。

平屋は上下移動による負担がなく、短い生活動線や家事動線で効率良く過ごせることがメリットです。しかしその反面、平屋には2階建てに比べて余剰スペースが確保しにくいというデメリットもあります。余剰スペースがなく動線に余裕がない住宅の場合、忙しい朝の時間帯に家族同士で動きを妨げ合ったり、家事の動線に支障が出たりする可能性も。主に使用する主動線に対し、補助的に使用できる動線をつくるような工夫が必要でしょう。

日当たりや解放感などの快適性

2階建てのメリットは、住宅密集地にあっても上階は日当たりを確保しやすいことです。一方平屋は、空間がフラットな地続きになるため広さを感じやすく、また2階がない分天井を高く開放的な空間にできるのがメリットと言えます。

ただし先述したように、住宅内部にも光が届くよう、日当たりを考慮した間取りにする必要があるでしょう。日当たりを良くする方法として、窓を広くとる、中庭を設置する、勾配天井へ天窓を設置するなどの方法があります。

【2階建てと平屋】比較ポイント④安全面

手に包まれた家族

ここでは日頃の防犯性や、災害時に命にかかわる安心・安全に関する比較ポイントを解説します。平屋と2階建てで生じる違いを見ていきましょう。

防犯性の高さ

2階建ては上階があるため、不審者の侵入や通行人の視線を防ぎやすい点がメリットです。反対に平屋は、侵入経路が複数になりやすいため、空き巣や不審者に狙われやすく、防犯面に不安を感じる可能性があります。

家の中が丸見えにならないよう、外部からの視線を設計上で考慮しておきましょう。家の周りに人感センサー付きライトを設置する、砂利を敷く、窓を2重ガラスにしたり防犯フィルムを貼ったりするなどの防犯対策をしておくとより安心です。

災害発生時の安全性

2階建ては万が一床上浸水が発生した場合、上階への避難や、物を移すといった選択をとれます。平屋は建物が低く構造的に安定しており、地震が発生した場合の耐震性の高さと台風時に風圧の影響を受けにくいのが強み。

これに対して2階建ては、地震の揺れや風圧の影響を受けやすいという特徴があります。2階がある分かかっている重量を支えられるように、強度を高める対策をしましょう。

【2階建てと平屋】比較ポイント⑤家族構成・世代

赤ちゃんを囲む家族

最後に解説する比較ポイントは、家族構成・世代です。このポイントについては、長期的な視点でイメージすることが大切です。

家族構成によっての住みやすさ

平屋だと家の隅々まで目が届きます。家族同士の距離が近くなり、家族の気配を感じ取れることから、コミュニケーションが生まれやすいでしょう。よって小さい子どもや高齢者がいる場合は、安心感が大きいと言えます。

2階建てはプライバシーが確保しやすいのがメリット。生活音や気配が筒抜けになる煩わしさが軽減される他、家族全員が利用する空間とプライベートな空間を分けやすいので、2世帯住宅により適していると言えます。

居住者の世代ごとの住みやすさ

2階建ては空間を区切ることが容易なので、例えば思春期の子どもなどに配慮しやすくなります。しかし、高齢者のみの世帯になった場合は、上下の移動があるため2階がデッドスペースになってしまうケースも考えられます。また、完全なバリアフリー仕様にしようとした場合、平屋に比べて費用が掛かるでしょう。

一方、平屋はバリアフリー仕様にしやすく、小さな子どもや高齢者にとってより安全な環境をつくれます。

2階建てと平屋はどちらが人気?メリット・デメリットを一覧で比較

2023年4月、株式会社NEXER運営の日本トレンドリサーチと株式会社ロゴスホームが、一戸建てに住んでいる全国の男女992名を対象に一戸建てに関するアンケート調査を実施。

「今後新たに一戸建てに住むとしたら、何階建ての家に住んでみたいと思いますか?」という質問に対し、52.9%と半数以上の人が「平屋」と回答したことがわかりました。

「現在あなたが住んでいる一戸建ては何階建てですか?」という質問では、83.6%が「2階建て」、6.5%が「平屋」と回答しており、この結果からは、現在は2階建てに住んでいる人が多いが、平屋を希望する人が増えてきていることがわかるでしょう。

では、2階建てと平屋に住むメリット・デメリットにはそれぞれどのようなものがあるのか、一覧でまとめて確認しておきましょう。ぜひ検討する際の参考にしてください。

メリット デメリット
2階建て ・(同じ立地・延床面積の場合)工事費が平屋より安くなりやすい
・少ない敷地面積で建てられる
・2階部分は採光しやすい
・2階部分は人目を避け、外からの侵入を防ぎやすい
・二世帯で暮らしやすい
・外壁面積が広くなりやすいため、その分のメンテナンス費用は高くなる
・2階部分は台風、強風、地震など災害の影響を受けやすい可能性がある
平屋 ・階段がないため移動が楽
・バリアフリーな間取りにできる
・台風、強風、地震など災害に強い
・洪水や大雨などでは浸水の可能性がある
・基礎や屋根の面積が広くなり購入費用が高くなりやすい
・屋根の面積が広いため、その分のメンテナンスの費用も高くなる
・中央部分は採光が難しい
・人目を避け、外からの侵入を防ぐ防犯対策が必要になる
・(同じ立地・延床面積の場合)固定資産税が高くなる場合が多い

参考資料
【一戸建て住むなら何階建て?】現在2階建てに住んでいる53.1%が「平屋に住みたい」

2階建てと平屋で悩んだら住宅展示場で相談しよう

スタッフの話を聞く夫婦

2階建てと平屋、どちらにもそれぞれ魅力があるので家を建てる際に迷うこともあるでしょう。そんなときは、ぜひ住宅展示場で相談してみてください。家族の希望に合わせたアドバイスを受けられますよ。また、事前予約しておくとモデルハウスもスムーズに見学できておすすめです。

希望やライフスタイルに合わせて、2階建てか平屋かを選択しよう

住宅街を歩く家族

家を建築・購入する際は、変わりゆくライフスタイルをイメージしたうえで、何を優先し必要とするのかを考えることが大切です。2階建てと平屋の比較ポイントを押さえて、「自分なりの正解」を見つけましょう。