オール電化住宅とは、ガスを使わずに全ての熱源を電気で賄う住宅です。
光熱費は毎月発生し、家を建てるときにどんな熱源を選択するかはとても重要です。
ここでは、オール電化住宅のメリットとデメリット、都市ガスとの比較、最近、値上がりが続いている光熱費の節約術について解説します。
この記事の目次
オール電化住宅とは?
オール電化住宅はその名の通り、家庭のエネルギー源すべてを電気でまかなうこと。ここでは、ガスとは何が違うのか、しくみや料金はどうなっているのかを紹介します。
オール電化住宅の定義
2000年代から広まり、安全面の高さから人気を集めているオール電化住宅。ガスをいっさい使わず、調理や給湯、換気など住宅に必要なエネルギー源すべてに電気を利用します。
最近では「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」といった省エネや創エネに特化した住宅が主流で、オール電化と太陽光発電を組み合わせた住宅などが注目されています。
オール電化住宅で使用される電化製品
住宅をオール電化にした場合、ガスコンロの代わりにIHクッキングヒーターを設置します。
また、お湯を沸かす際に必要なエコキュートなどの給湯器、電気ヒーターやヒートポンプ式を使った床暖房など、オール電化住宅には必要な設備が複数あります。
オール電化住宅の電気料金
電力供給会社によって多少の違いはありますが、オール電化住宅の電気料金は4人暮らしの場合、1ヵ月で平均1万4,000〜1万5,000円程度と言われています。
電気ガスとその他光熱費の平均額は、二人暮らしで年間26万3,412円(引用:総務省統計局による「2019年 家計調査報告」)。しかし、オール電化住宅だと19万円程度なのでお得です。
さらなる節約をする手段としては、電気給湯器や蓄熱暖房機の夜間使用量が安く設定された専用のプランがおすすめです。また、消費電力の大きな電化製品を使用する際は、タイマーで夜間に作動するよう設定するなど、工夫しだいでさらなる節約ができます。
オール電化住宅のメリット
オール電化のコンロは天板がフラットで、掃除がしやすい構造です。このように、オール電化にすることで生まれるメリットはたくさんあります。ここでは、オール電化住宅のメリットについて紹介します。
光熱費が管理しやすく節約できる
オール電化住宅にすると、ガス料金の支払いがなくなるため、光熱費の管理がしやすくなります。
オール電化住宅の夜間電力と都市ガスの料金は大きく変わりませんが、ガスの基本料金を支払わずに済む分、電気とガスの併用に比べると節約できると言えるでしょう。
火を使わないので安心
IHクッキングヒーターは、火を使わないので火災の危険性が低いです。磁力線によって鍋自体を発熱させるので、キッチンまわりも熱くなりません。夏場の暑い時期でも、コンロによる熱気を感じないのも魅力。
また、ガスを使用しないので二酸化炭素を増加させません。火も使わないので、子どもやお年寄りのいる家庭でも比較的安心して使用できます。
震災時の対応力が高い
震災が起こった場合、電気・ガス・水道の中でも電気の復旧が一番早いと言われてます。
またエコキュートなどの温水器は、夜間にお湯を沸かし、日中使えるようタンクに貯めておくしくみです。飲料水としては利用できないものの、震災時にタンク内の水を一時的な生活用水として使用できるのもメリットです。
オール電化住宅のデメリット
オール電化住宅には、デメリットもあります。後悔しないためにもしっかりとデメリットを把握しておきましょう。
初期費用が高額になる
IHクッキングヒーターやエコキュート、電気温水器などを導入するには本体費用や工事費用がかかります。そのため、ガス併用と比べると初期費用が高額になると考えておきましょう。
停電時は機能しない
すべてを電気でまかなうと、停電が起きたときに機能しなくなるリスクがあります。火が使えず、お湯も出なくなるので、生活に関するほとんどの手段が塞がれるかもしれません。携帯ガスコンロなど、停電に備えた常備をしておく必要があります。
電気料金が割高になる時間・季節がある
オール電化の料金プランは、夜間の電気単価が安く、日中は割高です。昼間、家で過ごす家族がいると電気代が高くなりがちです。また、夏より冬の方が光熱費が高くなる傾向も。この条件とライフスタイルを照らし合わせて検討しましょう。
設備の設置・メンテナンスが高額かつ手間がかかる
エコキュートや蓄熱暖房機などを設置する際、本体・基礎工事費・電気工事費などのコストがかかります。また、設備が大きいので十分な設置場所や補強も必要です。エコキュートの騒音が問題となる可能性もあるので、設置場所も考慮しなくてはなりません。
エコキュートの寿命は約5~15年と言われているので、修理や交換などにかかる費用や手間もいずれ出てくるでしょう。
都市ガスについて
家庭で使用するエネルギー源は、電気の他にプロパンガスや都市ガスがあります。ここでは、比較されることの多い都市ガスとオール電化との違い、プロパンガスについてなどを紹介します。
都市ガスとは?プロパンガスとの比較も
都市ガスとは、天然ガスを原料としています。電気や水道と同じように、地中に通されたガス管を通じて家庭に届くのが特徴です。
一方、プロパンガスは液化石油ガスが原料です。ガスの充填されたガスボンベを家庭に配送し、各家庭ごとの配管を使用して供給されます。
プロパンガスの料金は事業者が自由に設定できるため、配送にかかる人件費や運送費などから割高になる傾向があるのです。都市ガスは2017年から自由化されたものの、以前の規制料金の影響が強く、大幅な料金変更はまだ見られません。
都市ガスのメリットとデメリット
都市ガスのメリットは、なんと言っても料金の安さ。都市ガスは公共料金なので、急に値上がりする可能性も低いです。また、地中からの供給方法なので、ガス設備の場所を取る必要もありません。人体に無害で環境にやさしい性質という点も魅力です。
一方デメリットは、都市ガスの導管がない地域に住む場合に契約できないことです。参入企業も少なく、ガス会社の選択肢が狭いのもデメリットとして挙げられます。また新築の場合、ガス導管を引き込むなど、工事費用がかかってしまうので初期費用が高くなる可能性もあります。
災害時にプロパンガスより復旧が遅い点もデメリットです。復旧までに何日もかかってしまうことがあるので、災害時の対策を考える必要があります。
オール電化住宅と都市ガスの比較
都市ガスを利用できる地域なら、オール電化との併用をおすすめします。昼間の電気代が割高になるオール電化は、ガスを併用することによってお得になる可能性があるからです。しかし、プロパンガスしか選択肢がない場合は、オール電化一本が良いことも。
電気と比べるとガスの方が熱量が多く、火力も強いです。使いたい調理器具や作りたい料理にも大きく関わってきますので、比較して自分に合ったエネルギー源を選んでください。
光熱費値上げ対策、電気代の節約術
電気代に限らずガスなどの光熱費(エネルギーコスト)全般は上昇する傾向にあります。今後もこの傾向は続くと予測されています。ここでは、オール電化住宅にも対応した電気代の節約術を紹介します。
電気の利用状況の把握
オール電化住宅は、ガス料金の支払いがなくなり電気代だけを確認すれば良いので、光熱費の管理がしやすくなります。電気の利用状況や利用時間帯を確認し無駄な電気代が発生していないか確認しましょう。
家電の使い方を工夫する
オール電化住宅向けのプランの料金は、電気代は昼間は高く、夜間は低く設定されています。電気代の安い夜間に電化製品を稼働させましょう。例えば、食洗機や洗濯機などは、タイマー機能を活用し、夜間稼働させる手段がとれます。
また、夏場は、エアコンの温度設定を高くしてサーキュレータを併用すれば、電気の使用量を減らせます。
冷蔵庫も、季節ごとに合わせての温度調整や、壁から離して設置をすれば、電気代を節約できます。
家電製品や電球の見直し
エアコンや冷蔵庫などの家電製品の製造年数を確認し、新型への変更を検討しましょう。最新の家電は省エネ効果が高いため、少し古い家電を買い替えることで、生活の質の向上と電気代を抑えられます。
特に電球をLEDに変更することで、大幅な省エネ効果が期待できます。
部屋の断熱を行い室内温度を調整
長時間稼働するエアコンや暖房機器は多くの電気を消費します。部屋自体に断熱処理を施すと機器の稼働が抑えられ、電気代の削減につながります。
扉やカーテンをきちんと締めることはもちろんのこと、夏はサンシェードや簾で直射日光を防ぐ方法やガラスに断熱シートを貼る方法もあります。
エアコンの清掃
エアコンのフィルターが汚れていると、冷暖房の効率が悪化し、電気代に跳ね返ります。エアコンのフィルターは、2週間に一度の目処で清掃しましょう。
冷蔵庫内の整理
冷蔵庫の中にモノを詰め込みすぎると冷却効率が下がり、電気の使用量が増えます。冷蔵庫の中をまめに整理しましょう。また、冷蔵庫の中にカーテンを設置することで、冷蔵庫の開閉時に冷気が逃げにくくなり、結果、電気代の節約につながります。
調理器具の工夫
IH対応の鍋(鉄、ステンレス)や調理器具を用いましょう。アルミや銅の鍋は、IHでは熱効率が悪くなり、加熱に余計な電気が必要になります。
また、圧力鍋や無水鍋を利用すると料理の時短と電気使用量の効率化が実現します。
電気小売事業社の変更や電気料金プランの見直し
コロナ禍によるテレワークの普及により、在宅勤務が増えた方もいるでしょう。昼間の電気使用量が上がっているか確認しましょう。
例えば、昼間は高く、夜が安い料金プランに入っていた場合、想定以上のコストになっている可能性があります。
電気小売事業社は、各社ごとにさまざまなプランを用意しています。自分のライフスタイルにあった電気小売事業者を選び料金プランを変更しましょう。
太陽光発電の導入
まだ、太陽光発電を導入していない場合は、太陽光発電の導入を検討しましょう。一般的に100万円以上の設置費用がかかりますが、比較的電気代の高い昼間に節電ができます。また、余った電気は売ることで収益にもなり、ケースにもよりますが10年程度で、費用の回収が期待できます。
家づくりの参考に、住宅展示場へ足を運んでみよう
実際の住まいを見るとイメージが湧きやすいもの。オール電化住宅にしようか、間取りはどうするかなどと悩んでいる人は、ぜひ住宅展示場に行ってみましょう。ここでは、おすすめの住宅展示場を厳選紹介します。
tvkハウジングプラザ藤沢
30棟のモデルハウスを展示しており、神奈川県下2番目の規模。近隣には、湘南モールFILLなどもあるのでお出かけの際にはお立ち寄りください。
待ち時間なしでスムーズな打ち合わせをするなら、予約するのがおすすめです。希望エリアにある住宅展示場などにぜひ足を運んで、家づくりの参考にしてくださいね。
事前予約が便利でお得!家を建てるなら欠かせない「住宅展示場」見学レポート
家を建てるのにオススメなのが住宅展示場を活用すること。注文住宅の購入を真剣検討中の『家ーる』編集部・S原が、実際に見学してきた体験レポをお届けします!
オール電化住宅は、住む地域やライフスタイルに応じて選ぼう
オール電化住宅は、住む地域やライフスタイルが大きく関わってきます。メリット・デメリットをしっかり把握し、導入を検討することが大切です。光熱費は毎月かかるコストだからこそ、後悔しないようご家族でしっかりと話し合いましょう。