バリアフリー住宅でストレスフリー。手すりや階段など暮らしやすい家のポイントとは

2024年2月23日

バリアフリー住宅とは、高齢者や車いすの人でも安心して暮らせる住宅のこと。この記事ではバリアフリー住宅について、暮らしやすい家にするポイント、注意点、バリアフリー住宅を建てたときの補助金制度などを紹介します。バリアフリー住宅のことを知り、自分たちの家づくりの際に検討してみてください。

子どもから高齢者まで安心・安全に暮らせるバリアフリー住宅

部屋と廊下の段差がない住宅

バリアフリー住宅とは高齢者や車いすの人、子どもや妊婦などが、安心・安全、快適に暮らせるように配慮してつくられた住宅のこと。住宅内のわずかな段差により、転倒や車いすの妨げになることがあります。このようなわずかな段差をなくし、手すりを付けたりすることで快適に移動できるのがバリアフリー住宅です。

バリアフリー住宅の間取りポイント

バリアフリー住宅では、高齢者や車いすの人が暮らしやすい工夫をすることが大切。ここでは、暮らしやすいバリアフリー住宅にするためのポイントを紹介します。

段差の少ない玄関

玄関にスロープのある住まい

玄関ドアの幅は、車いすが出入りできるように90センチ以上にしましょう。上がり框(かまち)の段差はできるだけ低めにしてください。ただし、靴の着脱スペースも忘れずに。

玄関前に段差が生じる場合は、スロープを設置するためのスペースも考慮してくださいね。

車いすが通れる廊下

手すりのある廊下

廊下も車いすが通れるように90センチ以上の幅を確保しましょう。車いすを方向転換するときには、150センチ以上の幅が必要です。

また、今は必要でなくても、建築時に手すり用の下地を入れておくと、いつでも手軽に取り付けできます。車いすでの移動も考え、傷がつきにくいタイプの床材を選んでください。

手すりのある昇降しやすい階段

手すりを設けた階段

2階建て以上の場合、階段は足腰が弱ってきてしまっても使いやすい仕様にしておくことが大切。建築基準法による階段の法定寸法はありますが、最低基準のために使いにくいです。

昇降しやすい階段は踏面と蹴上のバランスで決まります。「蹴上×2+踏面=60センチ」が目安です。

他にもU字型の階段にしたり、手すりをつけたり、踏み板に滑り止めをつけたり、足元に照明を付けたりするなどの工夫をしてみてください。

転倒防止を考慮したリビング

リビングにある車イスと机とソファー

リビングも転倒事故の多い場所です。できるだけ段差のないフラットな床にして、転倒のリスクを減らしましょう。

テーブルの高さは、車いす生活を想定して選んでください。車いすのままテーブルに入れる高さの目安は70センチ。車いすのサイズによって適切な高さは変わるので、高さを調整できるテーブルが望ましいです。

使う人に対応できるキッチン

車いすの高さにあわせたキッチンとテーブル

立ちっぱなしになりやすいキッチンでの作業は、妊婦や高齢者にとっては負担が大きいです。バリアフリー対策されたキッチンを選択すると良いでしょう。

車いすの場合、一般的なキッチンの高さだと使いにくいため、足元に収納スペースがあるものを選ぶと良いです。また、将来を見越して、高さを調整できるキッチンを選ぶのも一つの方法。

キッチンはガスコンロから火事や燃え移りが発生する恐れのある場所です。そのため、IHヒーターの導入も検討してみてください。

広さに余裕のあるトイレ

広さのあるトイレ

高齢になると、トイレ利用回数が増します。少しでも負担を減らせるように、寝室の近くにトイレを設置しましょう。

トイレの広さは、車いすの人と家族の2人が入っても余裕のある広さが望ましいです。できるだけ段差をなくし、L字型の手すりを設置してください。

床はクッション性があり、汚れがつきにくい清潔感のあるものを。冬場のトイレは冷えるため、ヒートショックを起こしやすいです。暖房機を設置し、対策をしてくださいね。

車いす利用を考慮した洗面台

車いすの人でも使いやすい洗面台

車いすに乗っている人とでは、洗面台の理想の高さも異なります。将来を見越して、車いすに乗っている人が使いやすい高さに合わせると良いでしょう。

また、洗面台下部の収納スペースを取り払うと、車いすの人がより使いやすくなります。ただし、別途収納スペースが必要になるため、洗面スペースは広めに設けてくださいね。

転倒やヒートショックを予防できる浴室

使いやすい浴室

浴室は転倒しやすいため、床やバスタブは滑りにくい素材を選びましょう。出入口は広く設け、脱衣所との段差をなくしてください。

40センチほどの高さの浴槽だと、またぎやすく、高齢者もスムーズに入浴できます。洗い場と浴槽の両方にL字型の手すりを取り付けると、より入浴しやすいです。

洗い場と浴槽の温度により、ヒートショックを起こす恐れもあります。浴室暖房を設置し、浴室全体を暖かくして対策すると安心です。

バリアフリー住宅を建てるときの補助金

住宅資金の計算をする夫婦

バリアフリー住宅を建てたときに一定の条件を満たすと、国や自治体から補助金が支給されることがあります。バリアフリー住宅を建てたときに支給される補助金を紹介します。

国の制度による補助金

国の制度による補助金には、すまい給付金や地域型住宅グリーン化事業の補助金、ZEH補助金があります。それぞれの内容を紹介します。

<すまい給付金>
住宅取得者の課税所得により給付額が決まり、最大50万円給付されます。所得が少ないほど、給付額が増えます。

<地域型住宅グリーン化事業>
省エネや耐久性に優れた木造住宅を建築すると支給されます。

<ZEH補助金>
ZEH(太陽光発電などでエネルギーを創出し、消費ゼロを目指す)を対象とした補助金です。ZEH補助金については、こちらの記事で詳しく解説しています。

自治体ごとの補助金

多くの自治体で、国の補助金制度に加え、住宅購入の支援制度が用意されています。住まいの自治体の補助金制度も確認してみてください。ここでは2つほど例を紹介します。

<例①:子育て世帯への補助金制度>
子育てや老後の不安を軽減する同居や近居の住宅を購入すると、50万円の補助金を支援してくれる自治体があります。

<例②:緑化推進の補助金制度>
緑が少ないエリアや住宅密集地の場合、緑化推進(花壇や生垣などを作る)の補助金を支給してくれる自治体があります。

ローンの金利減額

バリアフリー住宅を建てたとき、一定の条件を満たせばローン(フラット35)の金利が安くなる場合も。高齢者等配慮対策等級4以上の場合は10年間、高齢者等配慮対策等級3以上の場合は5年間、金利が引き下げられます。

高齢者等配慮対策等級は、部屋の配置や段差などの項目ごとに基準があります。住宅性能評価書の取得、もしくは所定の物件検査の合格が必要です。

快適なバリアフリー住宅にするためのコツ

バリアフリー住宅はヒートショックの予防や間取りも大事。これから家づくりを始める人は、住宅展示場に足を運び、モデルハウスを見学してみてください。暮らしやすいバリアフリー住宅にするためのコツを紹介します。

ヒートショックを予防する

寒さを感じる女性

浴槽だけでなく、トイレや洗面室などで、ヒートショックを起こす場合もあります。ヒートショックとは、家の中の急激な温度差により、血圧が変動し、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こすこと。家づくりのときに、家全体の気密性や断熱性を高め、ヒートショックの対策をしましょう。

生活動線に合わせて間取りを考える

家の中を歩く高齢者

生活動線を考えて、間取りを決めていくと、理想の快適な暮らしができるバリアフリー住宅を建てられます。階段の昇り降りが厳しくなることも考えて、1階での生活をメインに間取りを決めてください。1階をメインとした生活だと、移動時の負担が少なく、また、部屋の温度差も小さいため、ヒートショックを起こしにくくなります。

寝室の横にトイレを設置するのも望ましいです。行き来する回数が多いトイレだからこそ、最も便利なところに設置しましょう。

モデルハウスを参考にする

モデルハウスを見学する夫婦

バリアフリー住宅を検討中の人は、一度住宅展示場にも足を運んでみてください。住宅展示場では、あらゆる人が使いやすい設計のモデルハウスがあります。

気になるモデルハウスがあれば、予約をしてから足を運ぶのがおすすめです。予約をして行くと、待ち時間なしでモデルハウスを見学できます。予約は一度に3棟まで可能です。

自分たちの生活にあったバリアフリー住宅を建てよう

子どもも高齢者も快適に過ごせる家

バリアフリー住宅は高齢者を始め、妊婦や小さな子どもも住みやすいです。しかし住みやすい住宅にするには、それぞれポイントやコツがいります。この記事やモデルハウスを参考にして、自分たちに合うバリアフリー住宅を検討してみてくださいね。