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湘南お店情報
みなさん、こんにちは! 藤沢に住むこと30余年、地元湘南ライターのヤスダマミコです。「湘南に暮らすHAPPY」を歩いて探して、ご紹介していきます。
皆さん、”湘南シラス”ってご存じでしょうか。かながわブランドやかながわ名産100選にも認定され、お魚本来の旨味がぎゅっとつまったシラス。今でこそ全国的に有名ですが、その昔は小さな小さな漁港からのスタートだったそうです。今回は、昭和30年創業、戦後の”湘南シラス漁の歴史”と共に歩んできた、湘南片瀬の「新生丸」の甘粕さんご夫婦にシラス漁とおいしさの秘密を聞きに伺いました!
早朝に漁に出て、その日獲れたシラスだけで作り上げる、本物の味わい
シラスのおいしさは、やはりその新鮮さ! そのため、シラス漁師さんは毎日漁に出ます。どのような工程を経て食卓へシラスを届けているのか、一日丸ごと密着させてもらいました。
シラス漁師さんの一日は、朝早くから始まります。5時半ごろ江の島近くの片瀬漁港から出航。漁場は、江の島から辻堂周辺までの湘南の海。魚群探知機を使い、シラスの群れを探し回り、囲むように網を入れて群れを追い込みます。獲れたら、船上ですぐに氷でしめます。
神奈川県ではシラスの資源保護のため禁漁期間を決めていて、1月1日から3月10日が禁漁期間で、3月11日からが解禁です。解禁日(その年の最初の漁の日)には、江の島の竜神様に船でお参りをするそう。当たり前のように、伝統を守って、海を大切に、海の幸をありがたくいただいている姿勢が印象に残りました。
新鮮そのもののシラスを提供していくこだわり
獲れたシラスをまずは丁寧に水で洗い、生シラスとして店に出す分はそのまま袋詰めに。
大人気の釜揚げシラスは、当主だけが使うことを許されている大釜で作ります。船と同じく釜も引き継いでいくそうです。修行を積んで認められてこそ、当主として扱うことができるのです。こうして新生丸の味が、確かな技術で継承されていくのですね。
じっくり温度を見て、かきまわし、シラスを投入! 透明なシラスが一気に白くなっていきます。あくを丁寧にとり、ゆであげたシラスを横の手作りせいろへ。
水を切ったシラスが木枠にあけられると、すばやくお箸で広げ、奥に積んでいきます。日によっては、この後ちりめんや、タタミイワシづくりを屋上でするそうです。
日本各地から注文が入り、ほぼ毎日売り切れる
全国から予約が入っているこの「釜あげシラス」。何とほとんどがクチコミだそう。評判が評判を呼んで、ほぼ毎日売り切れます。また、リピーター率が高いのも新生丸の特徴です。
おススメの食べ方を聞いてみると、「ほかほかごはんに、シラスをのせて、揚げ玉と白ごまをかけて、しょうゆを少し。我が家では子供もみんなこれが好きなんです」。
天候次第、海次第。自然とともにある新生丸
なくなり次第終了のため、看板が出ている日はラッキーとばかりに何パックも買っていく人が多いので、ほぼ毎日完売します。いつでもほしいものが手に入るこの時代に、「新生丸」さんのシラスは海次第、天気次第、売り切り終わりで、なかなか買い手の自由になりません。その分、買えたときの嬉しさ(レア感?)、そしておいしさは格別です。
新生丸として継いでゆく船と釜
時代をさかのぼり、創業当時のことを伺いたいと話すと、3代目から「戦後からのシラス漁に詳しいのは2代目です」と2代目を紹介され、伺うことができました。「初代が戦争から帰ってきてから、いろいろやってから、シラス漁を始めたんだ」と笑顔で話してくれたのは2代目のお父さん。「昔は漁場も広くしていて、大島のほうまでいってカジキマグロをモリで獲ったりしたなあ。木の船だったころの櫓(ろ)も作業場に飾ってあるんだよ」など懐かしそうに話してくれました。
当主が代替わりするときには、船と釜を継ぎます。「新生丸」では、昔ながらのやり方を受け継ぎながら、魚群探知機や潮や気象データなど新しいやり方を取り入れ、時代に合わせたシラス漁を続けられています。こうしたたゆみない研究や努力のもと、おいしいシラスを私たちの食卓に届けてくれているんですね。
湘南片瀬の伝統を守り続ける「新生丸」さんのシラス、本物の味わいをぜひ!
新生丸(しんせいまる)
片瀬の地にて創業60余年のシラス屋。地方発送も可能です。売り切れや不漁の場合もありますので、お電話でご確認ください。
神奈川県藤沢市片瀬3-1-13
営業時間:9時から16時(売り切れ次第終了)、禁漁期間(1/1~3/10)は不定期で10~14時
定休:不定休
Tel 0466-23-1716
https://www.facebook.com/shonan.katase.shinseimaru/
ヤスダマミコ
藤沢歴30年。編集・ライターとして書籍&取材記事作りに20年。
絵本の読み聞かせボランティア3年。
「大好き神奈川やってみよう行ってみよう」「季節感ある暮らし」「犬と暮らす」を主テーマに執筆。趣味は絵本、宇宙、恐竜、歴史。最近は藤沢はじめ神奈川を歩き回って化石を発掘しています!