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住まいのコラム 省エネ住宅を検討したい!具体的な内容や補助金、ZEH(ゼッチ)についても解説 公開日:2025年5月20日(火)
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2022年6月に「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」が改正され、2025年4月からは新築住宅の省エネ基準適合が義務化されました。省エネ住宅の基準は段階的に上がり、2030年までにZEH(ゼッチ)水準の省エネ性能まで引き上げられます。

そこで本記事では、省エネ住宅とはどのようなものなのか、住宅の省エネ性能や補助金、税制優遇について解説します。

省エネ住宅とは

省エネ住宅とは、家庭のエネルギー消費の約30%を占める冷暖房のエネルギー消費を抑えられる住宅のことです。具体的には、高効率のエアコンやLED照明を設置することでエネルギー消費量を削減し、冬は室内の暖かい空気を外に逃がさず、夏は外からの熱い空気を侵入させない設計がなされています。

省エネ性能は、断熱性能によって住まいの熱をコントロールする「外皮基準」と、冷暖房や照明など住まいで使うエネルギー消費量に関する「一次エネルギー消費量基準」の2つの基準で評価されます。

住宅の省エネ性能

省エネ住宅は、「断熱」「日射遮蔽」「気密」の対策がポイントです。

<断熱>

断熱とは、断熱材を使用して住宅全体を包み込み、壁や床、窓、屋根などを通じて住宅の内と外の熱を伝わりにくくすることです。住宅の内外の熱移動が少ないため、冷暖房を効率的に使用できて冬は暖かく、夏は涼しく過ごせます。住宅の断熱性能は外皮平均熱貫流率(UA値)で示され、数値が小さいほど省エネ性能が優れています。

<日射遮蔽>

日射遮蔽とは、窓ガラスから日光が入るのを遮断することです。外部からの日射熱は、室内の温度が上がる原因となります。夏は、窓など開口部からの日射熱を遮蔽することで室内の温度の上昇を抑えられるため、冷房に必要なエネルギーを削減できます。

住宅の日射遮蔽性能は、「冷房期の平均日射熱取得率」(ηAC値)で示され、数値が小さいほど省エネ性能が優れています。

<気密>

住宅に隙間があると空気が出入りし、熱が室内外に移動しやすくなります。隙間を少なくして気密性を高めると、空気の流れを抑えられるため、室内の温度を一定に保ちやすくなります。ただし、機密性能だけを高めると室内環境に悪い影響を与えるため、必要な換気量を確保しながら気密性を高めて空気の移動を抑えることが重要です。

2025年4月から省エネ住宅が義務化

住宅性能表示制度における断熱等級は等級1から等級7まであり、等級の数字が大きいほど性能が高くなります。2022年6月17日に建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律が改正され、2025年4月からは原則すべての建築物に省エネ基準適合(断熱性能等級4以上)が義務化されます。

建築確認手続きの際に、省エネ基準に適合しているかどうかが審査されます。基準を満たしていない場合や必要な手続きを怠った場合は、確認済み証や検査済証が発行されないため、建物の着工や使用開始が遅くなる恐れがあります。

省エネ住宅のメリット

省エネ住宅には、主に次のようなメリットがあります。

◎光熱費を削減できる

省エネ住宅は断熱性能が高く、夏は涼しくて冬は暖かいため、冷暖房の使用量を減らせます。また、省エネ性能の高いエアコンや照明器具などを導入するため、エネルギーの消費量を抑えて光熱費を削減できます。

◎一年を通して快適で健康的に過ごせる

省エネ住宅は外気温の影響を受けにくく、室内の温度差が少ないため、一年を通して快適に過ごせます。夏の熱中症や冬のヒートショックを起こすリスクを軽減できることも大きなメリットです。また、断熱性能が高い家は結露が発生しにくいため、カビやダニの繁殖を防ぎ、家族の健康を守ります。

◎外部の騒音を軽減できる

高断熱・高気密の住宅は、家全体を包み込むように取り付けられた断熱材や気密性の高さによって、外部からの騒音を軽減できます。交通量の多い地域にお住まいの方や、静かな居住空間を保ちたい方にとっては、大きなメリットといえるでしょう。

ZEH(ゼッチ)とは

2025年4月から省エネ住宅が義務化されますが、省エネ住宅の基準は段階的に引き上げられ、2030年までにはZEH水準の省エネ住宅が新築住宅の基準になります。ZEHとは、Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略で、太陽光発電システムなどによる創エネ(自治体や企業、一般家庭などが自らエネルギーを創り出す考え方や方法)と、高断熱・高効率設備による省エネで、エネルギー収支をゼロ以下にする家です。

ZEH水準の省エネ住宅には、主に次のメリットがあります。

● 光熱費を大幅に抑えられる

● 災害時に安心

● 快適な住環境を実現できる

ZEH水準の省エネ住宅は、断熱性能や省エネ性能によって消費エネルギーを抑えられるだけでなく、太陽光発電システムなどによる創エネによって、光熱費の負担をさらに軽くできます。

また、ZEH水準の省エネ住宅は耐震性が高く、太陽光発電システムによって停電時でも電力を確保できます。災害時に安心なこともZEH水準の省エネ住宅のメリットです。さらに高断熱性能なので、一年を通して室温が安定し、冬場のヒートショックのリスクを軽減できます。

省エネ住宅に関わる補助金や税制優遇

省エネ住宅を新築する際に利用できる補助金や税制優遇があります。これから新築住宅を建てる方は上手に活用しましょう。

<子育てグリーン住宅支援事業>

国土交通省・環境省・経済産業省が合同で新築とリフォームを対象とした4つの補助事業「住宅省エネ2025キャンペーン」を実施しています。

その中で、新築住宅を対象とした子育てグリーン住宅支援事業は、「GX志向型住宅」「長期優良住宅」「ZEH水準住宅」が対象です。

「GX志向型住宅」とは、ZEH基準の水準を大きく上回る省エネ性能を有する脱炭素志向型の住宅を指します。「長期優良住宅」とは、長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた住宅で、都道府県や市区町村で認定を受けた住宅です。「ZEH水準住宅」は、一定の省エネ性能を満たす住宅です。

なお、「長期優良住宅」と「ZEH水準住宅」は、子育て世帯または若者夫婦世帯限定で、「GX志向型住宅」は、すべての世帯が対象となっています。

補助金の種類 対象 補助金
GX志向型住宅 全世帯 160万円/戸
長期優良住宅 子育て世帯・若者夫婦世帯 最大100 万円/戸
ZEH水準住宅 子育て世帯・若者夫婦世帯 最大60 万円/戸

※環境省 住宅省エネ2025キャンペーン「住宅省エネ2025キャンペーンについて」

<給湯省エネ2025事業>

住宅省エネ2025キャンペーンの給湯省エネ2025事業は、高効率給湯器の導入を支援するものです。導入する高効率給湯器に応じて、基本額と性能に応じた補助(1台あたり4万円~7万円)が加算されます。性能要件を満たさない場合は、基本額のみの補助です。戸建て住宅は、いずれか2台までが上限となっています。

対象 基本額
ヒートポンプ給湯器(エコキュート) 6万円/台
電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯器(ハイブリッド給湯器) 8万円/台
家庭用燃料電池(エネファーム) 16万円/台

※給湯省エネ2025事業【公式】「対象要件の詳細【購入・工事タイプ】」

<自治体の補助金>

省エネ住宅への補助金を独自に実施している自治体もあります。自治体によって補助金の内容が異なるため、公式サイトなどで早めに情報収集しておきましょう。

例えば、東京都では令和元年度から「東京ゼロエミ住宅導入促進事業」を実施し、東京ゼロエミ住宅の建築主に費用の一部を助成しています。東京ゼロエミ住宅とは、断熱性能や省エネ性能が高い、人にも地球環境にもやさしい東京都独自の住宅です。断熱性能と設備の省エネ性能に応じた3つの水準があります。

水準 戸建住宅の助成金額
水準A ・ZEH水準を大幅に上回る断熱性能
・国基準より45%削減する非常に高い省エネ性能
240万円/戸
水準B ・ZEH水準を上回る北海道相当の断熱性能
・国基準より40%削減する高い省エネ性能
160万円/戸
水準C ・ZEH水準相当の断熱性能
・国基準より30%削減する省エネ性能
40万円/戸

※東京都環境局「東京ゼロエミ住宅」

<住宅ローン減税>

住宅ローン減税とは、年末時点のローン残高に対して0.7%相当の金額が、入居から13年間にわたって所得税・住民税から控除される制度です。2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅は、省エネ基準に適合している住宅のみ住宅ローン減税を受けられます。住宅の省エネ性能が上がると以下のように借入限度額が増額されます。

子育て世帯・若者夫婦世帯 その他の世帯
長期優良住宅・低炭素住宅 5,000万円 4,500万円
ZEH水準省エネ住宅 4,500万円 3,500万円
省エネ基準適合住宅 4,000万円 3,000万円
その他の住宅 0円(2023年末までに新築の建築確認:2,000万円)

※国土交通省:「2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅で住宅ローン減税を受けるには省エネ性能が必須となります」

<固定資産税の軽減>

新築住宅は固定資産税を3年間、2分の1に減額されます。認定長期優良住宅の場合は5年間、2分の1に減額される特例措置があります。適用期限は令和8年3月31日まで。

<フラット35の金利引き下げ>

フラット35は、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する全期間固定金利住宅ローンです。フラット35では、省エネルギー性、耐震性などを備えた質の高い新築住宅に対し、一定期間金利を引き下げる制度【フラット35】Sがあります。

さらに子育て世帯には、子供の人数等に応じて金利を引き下げる【フラット35】子育てプラスで最大年1.0%金利引き下げもあります。下記の表の住宅性能の金利引き下げにプラスして利用できます。

金利引き下げメニュー 金利引き下げ期間 金利引き下げ幅
【フラット35】S(ZEH) 当初5年間 年▲0.75%
【フラット35】S(金利Aプラン) 当初5年間 年▲0.5%
【フラット35】S(金利Bプラン) 当初5年間 年▲0.25%

※住宅金融支援機構「【フラット35】S」

なお、予算金額に達する見込みになると受付は終了されます。

まとめ

2025年4月から新築住宅は、省エネ基準適合が義務化されます。高気密・高断熱の家は、初期コストが割高になりますが、夏は涼しく冬は暖かいため、逆に光熱費を削減できます。補助金や住宅ローン減税なども有効に活用して、快適で健康的に暮らせる省エネ住宅を手に入れましょう。

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