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住まいのコラム 高気密高断熱住宅って実際どうなの?メリットやデメリット、注意すべき点を解説 公開日:2025年3月12日(水)
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近年は高気密・高断熱の家を検討する方が増えています。外気の影響を受けにくいため、夏は涼しく冬は暖かいイメージがありますが、具体的にどのように快適なのか分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本記事では、高気密高断熱住宅のメリットやデメリット、注意すべきポイントなどについて解説し、業者選びの際に気を付けるポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

高気密高断熱住宅とは

まずは、高気密高断熱住宅の「高気密」「高断熱」とは、どのような特徴のある住宅なのか解説します。

<「高気密住宅」の特徴>

高気密住宅とは、空気が出入りしにくいように隙間を塞いで気密性を高めた住宅のことです。壁と窓サッシの間などに隙間があると、たとえわずかであっても空気が出入りします。冬は冷たい外気が入り込み、室内の暖かい空気は外へ逃げていきます。また、夏は暑い外気が入り込み、室内の冷房された涼しい空気が外へ逃げていくため、冷暖房が効きにくくなります。

高気密住宅は、壁の内側や床下、天井裏などに断熱材や防湿シート、気密テープなどを使用し、隙間ができないようにしています。室内と室外の空気が出入りしにくいため、室温が一定に保たれます。

<「高断熱住宅」の特徴>

高断熱住宅とは、断熱材を用いて室内と屋外の熱移動を防ぎ、外気温の影響を受けにくくした住宅のことです。外壁と内壁の間に断熱材を入れたり、断熱性能の高い窓を用いたりして断熱性能を高めます。高断熱の家は外気の影響を受けにくいため効率良く冷暖房ができ、光熱費を抑えることにもなります。

<高気密と高断熱の違い>

高気密は、隙間を塞いで空気の出入りをしにくくする性能であり、高断熱は、断熱材によって外気温の影響を受けにくくする性能です。高気密と高断熱を組み合わせることによって相乗効果が生まれ、夏は涼しく冬は暖かい快適な室内環境を維持できます。

高気密高断熱住宅のメリット

高気密高断熱住宅の主なメリットをご紹介します。

☆室内環境を年中快適に維持できる

高気密高断熱住宅は空気の出入りが少なく、外気温の影響を受けにくいことが大きな特徴です。このような住宅は、夏は涼しく、冬は暖かい室内環境を維持してくれるため、快適に過ごせます。

☆光熱費を軽減できる

高気密高断熱住宅は室内の空気が漏れにくいため、エアコンなどの温度設定を頻繁に変えなくても快適な温度を保つことができます。この特性により、冷暖房の効率が向上するため、光熱費を節約することが可能になります。

☆ヒートショックの予防になる

ヒートショックとは、急激な温度変化によって血圧が急降下または急上昇し、脳梗塞や心筋梗塞などの疾患につながる現象です。特に、冬場に暖かいリビングから寒い脱衣所に移動し、その後に高温のお風呂に入る際にリスクが高まります。高気密高断熱住宅は、家の中で温度差が生じにくいため、ヒートショックのリスクを軽減できます。

高気密高断熱住宅のデメリット

高気密高断熱住宅には多くのメリットがありますが、デメリットもあるため確認しておきましょう。

★建築費用が割高

気密性や断熱性が高い住宅を建てるには、資材や断熱材が必要です。工事工程も増えるため、通常の住宅より建築費用が割高になる傾向があります。長期的に考えると光熱費を削減できるメリットがありますが、初期の建築費用が割高になるため、事前に見積もりを取って確認しておくことが重要です。

★結露やカビが発生する場合がある

結露は、外気温と室内の温度差が原因で発生します。高気密高断熱住宅は外気温の影響を受けにくいため、一般的には結露の心配が少ないとされていますが、壁内で結露が発生することがあります。そのため、施工時には特に注意が必要です。

外壁と内壁の間に断熱材を入れる際、隙間が残ると、そこに温度差が生じ、壁内結露が発生することがあります。これは、断熱材が適切に設置されていない場合に起こりやすい問題です。結露を防ぐためにも、高気密高断熱住宅の施工実績が豊富なハウスメーカーや工務店を選びましょう。

高気密高断熱住宅の注意すべきポイント

高気密高断熱住宅を建てる際に注意しておきたいポイントを2つ挙げます。

◎換気が必要

高気密高断熱住宅は、シックハウス症候群になるリスクがあることが指摘されています。シックハウス症候群とは、建材や塗料、接着剤などから健康を害する化学物質が放出されることが原因で、頭痛やめまい、吐き気などの症状が起こることです。高気密高断熱住宅は空気が移動しにくいため、化学物質がたまってシックハウス症候群になるリスクがあります。

現在では24時間換気システムの設置が義務付けられていますが、これだけでは不十分な場合もあるため、ときどき窓を開けて換気をしましょう。

◎石油ストーブが使えない場合がある

石油ストーブは一酸化炭素中毒の危険性があるため、安全に使うためには1時間に1~2回は換気が必要とされています。高気密住宅には24時間換気システムが設置されていますが、それだけでは不十分です。30分~1時間に1回の頻度で換気が必要となると、せっかくの高気密高断熱住宅のメリットが生かされなくなるため、暖房機器はエアコンや床暖房などを利用した方がよいでしょう。

工法の種類

断熱工法の主な種類には内断熱と外断熱があり、それぞれメリットがあるため、近年は併用するケースも増えています。内断熱工法と外断熱工法の特徴をご紹介します。

[内断熱(充填断熱)工法

内断熱工法とは、外壁と室内の壁の間や天井、床下などに断熱材を設置する工法です。充填断熱工法とも呼ばれます。コストが抑えられて、省スペースで設置できるため、木造住宅の断熱工法としてよく採用されています。ただし、気密性が低下すると断熱材部分が結露するリスクが高まるため、施工時は気密性への配慮が重要です。

[外断熱(外張り断熱)工法]

外断熱とは、住宅の構造体の外側を断熱材でくるむ工法です。気密性が高く、断熱性に優れていることが特徴です。また、壁内に断熱材を詰めなくてよいため、内部結露が起こりにくいというメリットもあります。ただし、内断熱に比べるとコストが高く、外壁が厚くなるデメリットもあります。

断熱材の種類

高断熱住宅に用いる断熱材にはさまざまな種類がありますが、原料の違いで大きく分けると次の3つに分類されます。

<無機繊維系>

無機繊維系とは、ガラスや鉱物を繊維状にした断熱材で、熱移動が起こりにくく、耐火性能に優れていることが特徴です。主な断熱材には「グラスウール」「ロックウール」などがあります。

○ グラスウール

グラスウールはガラスを原料とした断熱材で、耐久性や断熱性、耐火性が高いことが特徴です。シロアリに強く、価格は比較的リーズナブルなため、木造住宅の多くに使用されています。

○ ロックウール

ロックウールは鉱物を原料とした断熱材で、熱や火に強く、吸音性が高いことが特徴です。グラスウールに比べて湿気に強いです。

<木質繊維系>

木質繊維系の断熱材は、木材や古紙などの自然素材が原料です。主なものには、「セルロースファイバー」や「インシュレーションボード」が挙げられます。

○ セルロースファイバー

木質繊維系を代表するセルロースファイバーは、古紙を再利用して作られた断熱材です。断熱性が高いだけでなく調湿性も高いため、結露対策に優れています。また、ホウ酸が添加されているため、防火性能が高く、シロアリに対する防虫効果も期待できます。

○ インシュレーションボード

インシュレーションボードは、細かく粉砕した木材などを原料とした断熱材です。軽くて加工しやすく、断熱性や吸放湿性に優れているため、結露対策にもなります。ただし、セルロースファイバーのようにホウ酸処理はされていないため、シロアリや火災には強くありません。

<発泡プラスチック系>

発泡プラスチック系とは、発泡させて気泡を閉じ込めたプラスチックが原料の断熱材です。施工しやすく湿気にも強いですが、熱には弱く、火災時には有毒ガスを発生するものもあるため防火対策が必要です。主なものには、硬質ウレタンフォーム、フェノールフォーム、ビーズ法ポリスチレンフォームなどが挙げられます。

○ 硬質ウレタンフォーム

硬質ウレタンフォームとは、ポリウレタン樹脂に発泡剤を混ぜて作られる断熱材です。ボード状だけでなく充填式のものもあるため、施工現場で発泡できます。断熱性能が高いですが、価格も高めです。

○ フェノールフォーム

フェノールフォームとは、フェノール樹脂に発泡剤を混ぜて作る断熱材です。断熱性が高く、防火性や耐水性に優れているため、外張り断熱の工法でよく使用されます。

○ ビーズ法ポリスチレンフォーム

ビーズ法ポリスチレンフォームは、住宅用の断熱材として広く使われています。原料ビーズを金型に充填し、加熱して製造するため、金型の形状を変えると多種多様な形状のものを作れます。

○ 押出法ポリスチレンフォーム

押出法ポリスチレンフォームは、ポリスチレン樹脂が原料です。発泡剤を加えると押出成形されます。板状の形状なので、切り出して製品化します。

業者選びの際に気を付けるポイント

高気密・高断熱の家を建てる際には、業者選びも大切です。ハウスメーカーや工務店を選ぶ際に気を付けるポイントを3つご紹介します。

◎施工実績が豊富

高気密・高断熱の効果は、施工の質によって異なります。ハウスメーカーや工務店はそれぞれ得意な分野があるため、施工実績を確認して、高気密・高断熱な家づくりが得意な業者を選びましょう。

◎ZEHに対応している

Z EH(ゼッチ)とは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略称で、住宅の断熱性を向上させることで省エネルギーを実現し、さらには再生可能エネルギーを導入することによって、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロにすることをめざした住宅のことです。

具体的にはZEHには、以下の3つの重要要素があります。

● 断熱

● 省エネ

● 創エネ

高気密高断熱住宅を建てる際には、これらZEH基準に対応しているかどうかを確認することが大切です。これにより、快適で省エネな生活を実現できる住宅を手に入れられます。

◎ZEH性能値を公表している

ZEH性能は、C値(気密性)やUA値(断熱性)が関係しています。いずれも数値が小さければ小さいほどZEH性能が高いため、ZEH性能値を公表しているか確認し、数値をチェックしましょう。

まとめ

高気密高断熱住宅は、外気温の影響を受けにくいことや空気の出入りが少ないことで、夏は涼しく冬は暖かく過ごせます。冷暖房効率が良くなるため、光熱費の節約にもなります。ただし、施工によっては壁内に結露が生じるなどのリスクもあるため、高気密高断熱住宅を建てる際には、施工実績が豊富なハウスメーカーや工務店に依頼しましょう。

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