相続税の改正も後押しになり、人気が上がってきた二世帯住宅。土地価格や建設費の高騰もあり、実家をうまく活用して建て替えたいと、興味を持っている方も多いと思います。
その二世帯住宅には、さらに少子化問題や空き家対策など、社会問題の解決にもつながるという、大きな側面も見えてきます。
東京都内で数多くの二世帯住宅を手掛けられてきた積水ハウスの浜田様に、オススメしたい二世帯住宅の形と二世帯住宅が担う役割についてお話を伺いました。
基本的には完全分離型の二世帯住宅をオススメしています。完全分離型の大きなメリットは、なんといってもプライベート性の高さです。
親世帯と子世帯の生活時間帯のズレは、仲がいい家族の間でも意外と問題になります。仕事で帰りが遅くなった時、音を立てないように気をつかって共用エリアを通らなくてもいいというだけでも、お互いに精神的なゆとりが生まれやすくなりますね。
一方、玄関を二つ作らなければならないため、スペースにロスが生まれる点はデメリットとして考えられます。玄関は最低でも1.5mほどの幅が必要ですので、一階に2つ並べるだけでもかなりの空間を使ってしまいます。そのため、生活空間の広さを優先したいご家族には、玄関を共有部分にする形をオススメしています。
また、将来親世帯が家を使わなくなった後に賃貸物件として貸し出す、孫世帯が入るといった可能性を考える方も増えています。そんなケースの場合、完全分離型の方がメリットが大きいと言えます。
親御さんたちには、そういう将来の事業性まで意識してお子様世帯に二世帯住宅を残したいとお考えの方もいらっしゃいます。
このお話は二世帯住宅の基本的な構造に関わることですので、お打ち合わせの最初にさせていただいています。
お客様の中には「いきなり亡くなった後の話か」と感じられる方もいらっしゃいますので、こういう話は、お伝えの仕方が難しいのですが、そういう時こそ、私たちハウスメーカーの人間が、将来的な利用方法の一例として、こういうお話をさせていただきます。
この辺のことを冒頭にしっかりと決めておけば、その後に待っているのは、設計士やコーディネーターと未来に向けた楽しい打ち合わせです。
私たち営業スタッフの役割は、そのご家庭の一員だとしたらどうすることが正解なのか、ご家族の中に入って、プロ目線で導いて差し上げたいと考えています。
私どもでは、ご両親またはお子様方の両方からご相談をいただいています。
ご両親側からの場合は長く住んでいる自宅の建て替えのタイミングが多いように思います。お子様世帯の近くで孫の面倒をみつつ、将来は子どもたちが近くにいてくれると安心という思いから二世帯住宅を選ばれる方が増えています。
お子様世帯からは、マイホーム用の土地の費用を抑えたいという思いで検討されるケースが多いようです。
王子の展示場近くで土地を買って新築の家を建てようとすると、1億円以上の費用が必要になります。一般のお勤めをされている方ではなかなか難しい時代になって来ていますので、実家が建っている土地を活用したいという思いから二世帯住宅を選択するケースがよくあります。
ケースバイケースであるのは大前提ですが、親世帯側からの資金提供が多いように思えます。
親御さんの多くは、なるべくお子様世帯の負担を軽くしてあげたいというお考えをお持ちです。また、今であれば、子どもが住宅を建てるタイミングにだけ、最大1,000万円の資金を非課税で贈与できる住宅購入資金贈与の特例という制度があります。お子様に非課税でこれだけの資金を移せるタイミングは他にありません。
一方で、お子様世帯が主体となって住宅ローンを組むケースも少なくありません。住宅ローンの金利はあらゆるローンの中でも最も低い部類です。さらに最大13年間の住宅ローン減税制度も使えますので、金利に関する負担は非常に軽くなります。
建築費用はローンで用立てることで、手元にある現金を将来の教育資金や生活費として貯めておくこともできるのです。
長期的なお金の動きというものを見える化した表を作り、ライフプランニングを受けていただいて、最終的に手残り資金がどれぐらい増えるのか比較できるよう、プロの目線で理論的に資金計画を提案させていただいています。
なんといっても親世帯と子世帯の面積の割合です。建築を始めてからでは修正はできませんし、建てた後に不満が残ってはいけませんので、最初にじっくりとお話をさせていただくようにしています。
もともと、悠々自適に暮らしてらっしゃった親御さんの土地に二世帯住宅を建てる場合、
「二世帯住宅もいいかな」と、お考えになって建築の計画を立ててみたところ、「狭くないですか、私たちのお家」、という声が出ることはよくあります。
どうしても取り合いは生まれてしまいますが、親御さんからお子様側へもっと広くさせてほしいと直接訴えてしまうと、世帯間の関係が悪くなってしまうかもしれません。
そうした直接交渉によるトラブルを避けるために我々が間に入り、なるべく多く、複数のパターンをご用意させていただきながらご家族のご希望を調整するようにしています。
また、例えば旦那様のご両親が所有する土地に二世帯住宅を建てる計画をされている場合、奥様が口を挟みにくくなるケースは珍しくありません。
こうした状況は、親御さん側が意図的にプレッシャーをかけるつもりがなくても発生しがちです。
私どもはできるだけ皆様に納得していただけるよう、親世帯・子世帯それぞれのご希望の大枠だけを優先して決め、その後は各世帯個別にお打ち合わせさせていただくようにしています。
特に、発言が比較的少ない方にはメールやLINEで個別に想いを聞かせていただき、皆さんにお見せするプレゼンの中には、その想いを反映してさしあげたいものと思っています。
皆様でお話し合いするよりは、建築のプロが間に入ることが大事だと考えていますね。
同居型の二世帯住宅を建てられたオーナー様ですが、一階に玄関があり、一階が親世帯、二階が子世帯という設計にしたお住まいがあります。
お子様世帯は共働きなのですが、小さなお子様がいらっしゃり、急な発熱などがあった時に以前は保育園に預けられず、仕事に出られないケースがあったそうです。
今は親御さん世帯に預けられるようになったので、とても安心できるというお話がありました。
親御さんたちは、お子様世帯と同居する事で、お孫さんの面倒を見る機会が増え、若返った気持ちだとおっしゃっていました。
建てた後も、定期的にご挨拶に伺うのですが、お庭で遊んでいるお孫さんをお祖父様、お祖母様が見ている風景が本当に楽しそうに見えました。
二世帯住宅にしてさしあげて良かったなと感じる時ですね。
現在日本では少子高齢化が大きな社会問題として取り沙汰されていますが、この問題の解決に一石を投じるのが二世帯住宅なのではと考えています。共働き世帯が増えたことで、仕事と子育ての両立が難しいという世帯が増え、少子化が進行しました。
子どもを看てもらえる人がいないから働きに出られない、子育てに集中できるだけの経済状態でないから子どもを持てないといった問題は、ご両親の世帯と一緒に取り組むことで解決に向かえる可能性があります。
私自身がまさに子育てと共働きの両立を求められている立場ですので、身をもって可能性を感じている最中です。二世帯住宅にはさまざまな形がありますが、日本の将来に関わる社会問題の解決に寄与できる選択肢であると考えています。
二世帯住宅が少子化問題の解決に寄与する効果が広まれば、二世帯住宅の建築に対する助成金や補助金制度が作られるかもしれません。
政府はこれまで空き家に対する課税の強化や小規模宅地の特例など、所有済みの宅地を有効に活用するための制度を多く設けています。親世帯との同居に対する特例制度も含まれていますが、今後さらに二世帯住宅への補助の動きが推進されて欲しいと個人的にも期待しています。
当社もあらゆる制度を活用しながら理想の二世帯住宅を建てられるよう、長期的なライフプランニングからお手伝いさせていただいております。ご家族皆様が満足できる二世帯住宅をご希望の際には、ぜひご相談下さい。
住まい探しの情報収集や知識を身に付けたら、
まずは、ご希望条件に合ったモデルハウス探しや、お近くの展示場を探してみましょう。
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