このところ、首都圏では土地価格が高いこともあり、実家を二世帯住宅に建て替えるケースが増えていると言われています。
そんな中、二世帯住宅に興味はあるけれど、実際にどんな風に建てていけばいいのかわからない、という方も多いのではないでしょうか。
そこで、入社以来16年間住まいづくりに携わってきて、二世帯住宅の実績も実に70棟ほどという、経験豊富な、旭化成ホームズの平山様に、ハウスメーカーならではの視点から、二世帯住宅を賢く建てる方法を、実例と共に伺いました。
親御さん、お子様、どちらからお話が出たかということですと、親御さんからお話が出るケースが多いでしょうか。もちろん、お子様からのアプローチも多いのですが、都内は土地価格が高く、お子様方もそれがわかっているので、いつかはご自分の実家を使って二世帯住宅に建て替えようと考えている方が多いようですね。
大体、築40年ぐらいの実家を建て替えるというケースが多いように思います。
私が経験した、親御さんから同居を希望されたケースと、お子様から望まれたケースの事例をご紹介します。
まず最初に、80代の親御さんのケースです。
「自分が生きているうちに、賃貸に住んでいる娘さん世帯のために(家づくりを)してあげたい」という思いで、娘さんご夫婦に同居の提案をされました。
親御さんは将来のことを考え、ゆくゆくは賃貸住宅として、誰かに貸せる家を希望されていたので、玄関は別々で、1階に親御さん、2階に娘さん世帯が住める二世帯住宅をつくりました。
将来の賃貸経営の事も考えて、上下の行き来はないような設計の住まいです。
建て替え中、仮住まいなどでご体調を崩す事もあるので、ご高齢の方はその点でも悩まれるケースはあるようですが、それでも、次の世代のために、と決断されたようです。
娘さんご夫婦にとっては、とてもありがたいお話だというような事でした。
次にお話しするのは、お嬢様からアプローチのあった方ですね。
一人娘であったお嬢様は「実家を継ぐ」気持ちがあり、旦那様にご相談したうえで同居を決められました。
1階はおばあさま、2階はご両親、3階はお子様世帯という、3世代が暮らす3階建ての住居が完成しました。
入り口は1つで、各世帯スペースは各階に分かれています。
それぞれの世帯スペースは廊下と階段で行き来する設計のため、お互いにプライバシーを保ちやすいつくりです。
二世帯住宅は、経済的負担が軽減されるのもそうですが、お孫さんの面倒を見てもらえるなど、育児の負担も軽くなり、共働き世帯でのメリットもあります。
また、違う世代が適度な距離感で暮らすことで、互いに学びが生まれているそうです。
現在も年賀状でのやり取りをしていますが、とても幸せそうに暮らしていらっしゃいます。
「誰が弱い立場なのか」を理解しておくことですね。たとえば男性側の実家に入る場合、お嫁さんは一番ケアしなければいけない存在です。
両世帯間で話し合うと、言いたいことも言えない可能性があるので「営業担当者にご相談ください」とお伝えしています。親御さんだけの意見を伺う機会を設けたり、お子様だけの意見を伺う機会を設けたりして、調整するのが、私達の仕事です。
個々で解決しようとせずに「営業担当者をうまく使ったほうが、問題は解決しやすい」ことを知っておいて欲しいですね。
お財布問題を事前に決めている方は、ほとんどいません。そもそも、いくらかかるか知らないお客様もいらっしゃいます。土地は親御さんが所有していることが多いので、建物はお子様世帯が出す場合もありますし、親子でリレーローンを組む方もいらっしゃいます。
相場に関しては、多くのメーカーでは上物だけで坪100万円と言われていますね。
二世帯は設備も倍必要なので、思った以上にかかると、びっくりされる方もいらっしゃいます。
玄関は別々にするか、向きはどうするか、車・自転車の台数などは、あらかじめイメージを持たれている方は多いですね。そのほかの箇所は、図面など、絵を見てからではないと決めにくいので、漠然とした状態でご相談いただいて問題ございません。
ちなみに私が担当した中で多いケースは、ご両親が1階に住み、電気ガス水道は別々というスタイルです。
ご家族のご要望によって異なるので一概には言えませんが、ご希望に寄り添ったおすすめのプランをいくつかご紹介しましょう。
子ども世帯に兄弟がいる場合は、遺産分割によって土地建物の権利は兄弟全員にわけられます。相続を考える際には、あらかじめ2棟にわけたほうが、のちに揉める可能性は低くなります。相続を配慮するならば、土地や建物は分割しやすいようにしておくと安心です。
二世帯住宅の間取りは、大きくわけると玄関、風呂、浴室、トイレ、キッチン、リビングなどがそれぞれにある「完全分離型」と、玄関や浴室などを共有する「部分共有型」、全てを共有する「完全共有型(同居型)」があります。
適度な距離感で暮らしたい場合は、建物を上下階にわけるタイプの完全分離型がおすすめです。内側に行き来ができる扉を設けると、何かあった際に安心感があります。
人に貸すことが決まっている場合は、室内間で行き来ができる内扉の設置はしないほうがいいでしょう。内扉のままでは賃貸には出せないため、壁にする必要があります。
また高い建物が建てられる地域ならば、ビルのような形状の二世帯住宅をつくってもいいでしょう。エレベーターを取り付け中層階を賃貸に出せば、賃貸収入が得られます。サブリースなどを利用することで、入居率の心配をする必要もありません。
二世帯住宅を建てる前から、二世帯で暮らしていたご家族のエピソードが、とても印象に残っています。そのご家庭は、キッチンもお風呂も一緒の住まいに、息子さん夫婦とご両親が同居していました。
お義父様は、お嫁さんに気を使わずに「ゆっくりお風呂に入りたい」という思いから、浴室は別々の二世帯住宅を希望されていました。
しかしお嫁さんもなかなかな方で、「1個でいい」と譲りません。何度お伺いしても、お義父様は「頼むから、浴室は2つにして欲しい」とおっしゃるので、まずはお嫁さんに「浴室をお義父様にも、わけてあげてください。僕からもお願いします」とお伝えしました。
結局お嫁さんはわかってくださり浴室は別々で、玄関は1つ。1階(2LDK)には親御さん世帯、2階(3LDK)には子ども世帯がお住まいになりました。
結果的に、玄関は1つですが水回りも全て別々となったのです。多分、浴室を1つにしていたら建っていなかったと思います。それほどにお義父様の「お風呂にゆっくり入りたい」という思いが強かったのです。
そうですね。ですから、営業担当者に不安点をお伝えいただけると、今回お伝えした事例のように改善策は見つけられるので、何でもおっしゃって欲しいです。
それぞれの世帯には、家族との関係が変化してしまうのでは、という不安もあると思います。別々に暮らしながら程よい距離感を保っていたのが、同居するとどうなってしまうのか、そのように考えるお客様が多いですね。
家づくりには間取りだけではなく、さまざまな人の思いや希望が含まれていますが、私の経験では、基本的にお客様の問題は、解決できることのほうが多いです。
お客様ご自身達だけでは前に進まない事も多いです。ぜひ私たちハウスメーカーの営業担当者に頼っていただき、住まいへのご要望を話してみてください。それが理想の二世帯住宅をつくる近道になると思いますよ。
今後、特に首都圏、都内では、子ども世帯の力だけでは、なかなか家を建てることは難しいと思います。私が旭化成ホームズに入社した時代は、核家族が終わり始めた時代でした。いわゆるサザエさん世帯の時代の始まりだったように思います。そういう意味でも将来、二世帯住宅の必要性はさらに増えていくと思います。
旭化成ホームズは、特に二世帯住宅の需要が多いかもしれません。さらに言えば、二世帯+賃貸で、3階や4階建てというケースもかなり事例があります。
金額もかなりの額になりますが、賃貸での収入も見込めますので、総額としての負担は少なく抑えられる、都市部ならではのプランです。
当社も、建てるだけで終わらず、サブリースについても会社全体でバックアップし、長いお付き合いをさせていただいておりますので、安心してお任せください。
住まい探しの情報収集や知識を身に付けたら、
まずは、ご希望条件に合ったモデルハウス探しや、お近くの展示場を探してみましょう。
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